研究課題/領域番号 |
21K02998
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
田爪 宏二 京都教育大学, 教育学部, 教授 (20310865)
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研究分担者 |
高垣 マユミ 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50350567)
廣瀬 真喜子 沖縄女子短期大学, その他部局等, 教授 (70605617)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 認知的個性 / 教員養成 / 教師の資質向上 |
研究実績の概要 |
本研究は、教員養成大学に在学する大学生に対して認知的個性の測定を行い、そのフィードバックが教師としての資質向上に及ぼす影響に関して、養成課程の各段階の特徴及び時系列的変化の過程を縦断的に検討するものである。 本年度は、研究の背景となる、実行機能やワーキングメモリ等の認知的個性にかかわる検査・評価課題の検討、及び教員として必要な資質とその養成教育についての文献研究を行った。それらの知見を踏まえ、教員養成課程における教師としての資質を評価する尺度、及び質問紙による集団での実施が可能な認知的個性を評価するチェックシートの開発を行った。 その上で、開発した「認知的個性を評価するチェックシート」を学生に実施し、その結果をフィードバックし、それを元に、各学生に認知的個性を活かした学習の方策について考察させる教育的支援を試行的に実施した。その結果、大学生はチェックシートにより自身の認知的個性について認識し、それをもとに実習における個性の活かし方や留意点について各自で考察する姿が窺われた。 但し、コロナウイルス感染症拡大の影響をうけ、大学における講義や学外での実習に制限や変更が大きく生じる事態となった。このため、調査の実施についても制限が大きくなり、本年度は4年制大学で教育実習を控えた3年生、および短期大学の実習準備期にある1年生に対して調査を実施した。また回収されたデータおよびその分析についてもコロナ下の影響を踏まえる必要性があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、研究の背景となる文献研究を行うとともに、教員養成課程における教師としての資質及び認知的個性を評価するチェックシートの開発を行い、それを大学生に実施するとともに各学生に認知的個性を活かした学習の方策について考察させる教育的支援を試行的に実施した。 しかしながら、コロナウイルス感染症拡大の影響をうけ、大学における講義や学外での実習に制限や変更が大きく生じた。その影響のため、調査の実施についても制限が大きく、変更を余儀なくされた。そのような状況においても可能な限り調査を実施したが、それらについても、実習の経験が従来とは大きく異なっているため、試行的な段階として踏まえる必要があった。また、研究の成果の報告機会となる学会の多くが会場に参集しない形となり、Webによるオンラインあるいはオンデマンド形式の開催となったため、研究発表を通した研究者との情報交換が制限されたものとなった。 上述の状況から、本研究課題の進捗にやや遅れが生じていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」の項でも述べたとおり、コロナウイルス感染拡大の影響で調査の実施や学会参加による成果報告、情報収集が制限され、本年度の計画通りに行うことができない部分があった。このため、共同研究者や所属機関とも協議の上、研究計画を見直し、令和4年度において改めて入学~実習準備期(1、2年生)及び教育実習を行う実習期(3年生)の調査を実施することとする。 入学期・実習準備期では主に大学内の講義を中心とした学習前にこれを実施し、その結果をフィードバックし、それを元に各学生に認知的個性を活かした学習の方策について考察させる教育的支援を実施する予定である。また授業の終了後、認知的個性を踏まえた学習への取組みについての調査を行う。実習期の学生については同様に教育実習の前後に調査を実施する。また学習の前後に「教師としての資質を評価する尺度」を用いた調査を実施し、比較を行う。これらを通して教育的支援の効果について検討する。 あわせて、学会参加や論文執筆による研究成果の発信を行う。 但し、コロナウィルス感染症拡大の影響により大学の授業や実習に変更が生じた際は、研究の遂行においては共同研究者や所属機関とも協議の上、コロナ下の影響を加味しながら調査の実施や分析を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、コロナウィルス感染症拡大の影響により、出張予定の学会(日本教育心理学会(2021年8月)、日本心理学会(2021年9月)、日本発達心理学会(2022年3月)等)が参集しない形での開催となったことや、対面による研究打合せの中止による旅費未使用分、および物品の価格の変動等によって生じた差額である。 (使用計画) 当初の研究計画から時期を変更し、2022年度の学会参加費用及び物品等の購入費に充てる。
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