研究課題/領域番号 |
21K03025
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
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研究分担者 |
金綱 知征 香川大学, 教育学部, 准教授 (50524518)
西野 泰代 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (40610530)
鶴田 利郎 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 講師 (20735352)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | いじめ / モニタリング / 教師のいじめ認知 / 自己効力感 |
研究実績の概要 |
1.「いじめモニタリングシステム」の第二段階の試行:令和3年度の第一段階の試行実践(ひとつの小学校での実践)をうけ、令和4年度は複数の基礎自治体の複数の学校で、教育委員会でもモニターできるようにして試行実践を行った。入力と表示のシステムは、今までグーグルフォームとスプレッドシートの組み合わせであったものを、奈良県教委とネット環境構築専門の会社との共同で、各段に使用しやすいシステムに構築しなおした。試行実践を行った学校では、当初の想定以上の頻度での使用がなされ、会議時間の短縮などの成果が聴かれた。中学校での活用も検討されるほどであった。令和5年度には、奈良県全県の小学校への実装が決まり、6月1日から11市町村(橿原市、桜井市、御所市、葛城市、平群町、川西町、三宅町、河合町、大淀町、下市町、東吉野村)の12小学校・義務教育学校(前期課程)で先行実施することが、2023年4月に奈良県教委から報道発表された。この先行運用のなかで最終的な調整を行い、全県運用への準備が行われる見込みである。 2.教師のいじめ対応効力感尺度の開発:上記システムを紹介する別の自治体の研修において、教師のいじめ認知や対応への効力感に関する調査を実施し、効力感の自己評定やその際の判断に関する自由記述を集め、予備的に分析した。その結果をもとに、いじめ対応効力感尺度の原案を作成した。今後、その成果をもとに、調査を行っていく。 3.国際的な共同:ダブリン・シティ大学のいじめ対策センターと鳴門教育大学いじめ防止支援機構の連携を構築し、共同でのオンラインセミナーを企画して運営するための交渉を行ったが、コロナ禍と先方の事情で、先送りとなった。 4.研究成果の論文・著書:この件での学会発表に向けて、準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際的な共同は、コロナ禍により当初の計画を遂行できなかったが、それ以外の「システム構築・改善と試行」「予備的な調査の実施と尺度案の作成」に関しては、おおむね達成できた。 奈良県教委のICT専門の先生方およびネット環境構築会社のご尽力とご厚意で、開発等に関する予算がかからず、その分、保護者対象のいじめ予防の研修を開発した研究者を招いて先生方への講演を行っていただくとともに、いじめモニタリングシステムの保護者サイドのモニターへの拡張に関する構想を練り直すことができた。 また、奈良県の学校で、児童・生徒が回答している「こころのアンケート」とのデータ統合によって、子どもの回答と教師の認知の「照合」による検出力の向上に関する見通しも、奈良県の研究者と検討を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.「いじめモニタリングシステム」の先行実施と全県展開:令和5年度からの全県の小学校への実装が決まり、2023年6月1日から11市町村(橿原市、桜井市、御所市、葛城市、平群町、川西町、三宅町、河合町、大淀町、下市町、東吉野村)の12小学校・義務教育学校(前期課程)で先行実施することが2023年4月に報道発表された。これは、継続的な観察から気になる児童の様子を教員間で共有できるWEBアプリケーションであり、「気付き見守りアプリ」と命名された。今後、公式に「奈良県いじめ防止プラットフォーム」として運用されていく。上記の先行実施の運用のなかでシステムの運用に関する最終的な調整と修正を行い、全県での運用に向けての準備を行う。また、そのなかで、児童が回答するアンケートのデータと、教員による気付き・見守りのデータを統合しての分析も試行していく。 2.教師のいじめ対応効力感尺度の開発:昨年度作成した「いじめ対応効力感尺度」を用いて、複数の自治体で教員の回答による質問紙調査を行い、その妥当性と信頼性を検討する。その分析を行い、学会発表につなげる。 3.国際的な共同:ダブリン・シティ大学のいじめ対策センター(ABC)と鳴門教育大学いじめ防止支援機構(BP)の連携を構築し、共同でのオンラインセミナーを企画して実施する。2024年3月実施を考えている。 4.研究成果の公開・論文・著書:「アジア諸国のSOGIといじめ」に関する英文書籍が年内に発刊される予定なので、2023年12月に出版記念のシンポジウムを開催する。その際、ユネスコの幹部職員として「SOGIといじめ」に関する国際シンポなどを企画運営してきた方や、タイの研究者を招く予定である。さらに、国内外の学会での発表を準備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
いじめモニタリングシステムの開発及び実装に多額の費用がかかると見込んでいたが、奈良県教委との共同及び専門のネット環境構築会社のご厚意によって、科研費から開発費用を支出せずに実装する運びとなったため、多額の次年度使用が生じた。また、6月と8月に、国際学会等に参加する予定をし、欧州側との日程調整やホテルの予約もしたが、航空運賃の高騰とコロナ禍による渡航上のリスクのために断念することとなり、渡航費用も使うことなく、その点でも次年度使用が生じた。 令和5年度には、「気付き・見守り」のシステムの拡張のための研究交流に費用を使うほか、奈良県教育委員会の先生方とシステムの構築と活用に関する学会発表を行うので、その旅費に使う。また、国際学会に参加したり、海外の研究者を招へいして研究交流をしたりするなかで、システムの改善のヒントを得るとともに、海外にもシステムを紹介する。
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