研究課題/領域番号 |
21K03032
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研究機関 | 藤女子大学 |
研究代表者 |
青木 直子 藤女子大学, 人間生活学部, 准教授 (20453251)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ほめ / 幼児 / 友人 / 動機づけ / 自尊感情 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,幼児の友人間の「ほめ」の実態を明らかにし,友人間の「ほめ」が動機づけや自尊感情に与える影響を検討することである。2021年度は,幼児間の「ほめ」の実態について明らかにするため,以下の調査を行った。 A.保育者を対象とした質問紙調査:保育所・幼稚園・こども園での幼児の友人間の「ほめ」について明らかにするため,保育者を対象とした質問紙調査を行った。友人間の「ほめ」が生じやすい場面は,年少児・年中児・年長児とも,遊び場面全般や自由遊び場面であった。また,自由遊びの時間帯にグループ間で競争する遊びをしている際の「ほめ」は,年少児よりも年長児の方が多かった。「ほめ」の対象については,年少児・年中児・年長児のいずれも優れた結果に対する「ほめ」が多かったが,過程に対する「ほめ」は,年少児よりも年長児の方が多いという発達差もみられた。 B.保護者を対象とした質問紙調査:幼児が経験した園での友人間の「ほめ」の家庭での広がりについて検討するため,保護者を対象とした質問紙調査を行った。子どもが家庭で語る園で経験した友人間の「ほめ」は,友人をほめたエピソードよりも友人からほめられたエピソードの方が多かった。また,子どもが友人からほめられたエピソードを話したときの保護者の反応は,「うれしかったね」といった子どもの気持ちを受け止めるものや,「○○ができてすごいね」など子どもの行動をほめるものが多く,「ほめられたことをもっとうまくなろうね」などのほめられた部分をさらに伸ばすような反応や,「ほめられたなんてすごいね」とほめられたことをほめる反応は少なかった。子どもが友人をほめたエピソードを話した際の保護者の反応には,差はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,2つの調査を実施し,幼児の友人間の「ほめ」の概要を整理することができた。しかし,データの詳細な分析までは終了していない。そのため,現在までの進捗状況は,「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず,今年度実施した,保育者・保護者を対象とした調査によって得られたデータを分析していく。次に,幼児を対象とした調査を行う。具体的には,子どもたちにある課題に取り組んでもらい,その際に生じる「ほめ」の頻度,「ほめ」の対象となることがら,課題に対する動機づけ,「ほめ」による自尊感情の変化などを観察することを予定している。 また,幼稚園などで自然場面の観察を行い,「ほめ」の生じやすい場面・生じにくい場面を把握し,実験場面の設定に生かしたいと考えている。しかし,新型コロナウイルスの感染の広がりから,このような調査は実施できない可能性も高い。そのため,自然場面の観察が実施できなかった場合には,今年度の質問紙調査によって得られたデータを精査し,適切な実験場面を設定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙の構成をコンパクトなものにしたため,印刷用紙代やデータ入力の人件費などを部分的に削減することができた。それにより生じた次年度使用額については,より多くのデータを収集できるよう,調査協力者への謝金として使用する予定である。
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