研究課題/領域番号 |
21K03040
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
内山 有美 四国大学, 生活科学部, 講師 (60735843)
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研究分担者 |
山崎 勝之 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 特命教授 (50191250)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プライミング法 / 援助行動 / 非意識的制御 / ユニバーサル介入 / 幼児教育 |
研究実績の概要 |
本研究は援助行動を育成するためのプライミング法を活用した非意識的な介入方法の確立を目的としている。そのために,援助行動の育成に効果的である発達早期の幼児を対象に,援助行動の導出が促されるようなイラスト刺激を用いた個別プライミング法を複数開発することと,介入効果を検証するための援助行動測定尺度の開発に着手している。2021年度は4~6歳の幼児でも回答が可能な援助行動測定尺度として,絵本のような冊子を用いて援助行動の測定を行う物語課題(2種類)と,仮想場面の提示から後続行動を選択する三択課題(2種類)の4種類を作成した。予備調査では,全課題における項目分析と,内容も回答方式も新規で作成した物語課題の適用可能性の検証を行った。その結果,三択課題における一部の項目を修正し改良を完了させ,物語課題が幼児でも適用可能であることを確認した。その内容については,学会発表での公表を予定している。 当初の計画は,援助行動測定尺度を幼児を対象に集団実施し,尺度の信頼性と妥当性を検証するとともに,測定尺度に問題点があれば改良を試みるものであった。加えて,改良した測定尺度を用いて,個別プライミング法の介入効果を順次検証する計画であった。しかし,新型コロナウィルス感染症蔓延の影響で,調査を予定していた認定こども園や保育園が休園となったり,幼児集団に対して対面実施するための,必要な複数の研究補助者の出入りが制限され,保育・教育現場における調査・介入の実施が不可能となった。このような状況から,2021年度は次年度の個別プライミング法の円滑な実施を図るため,使用する教材に用いるイラストを複数作成し,保育・教育現場に適用可能な教材をそろえる作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は,研究目的の達成のために3段階の流れを想定している。まず,プライミング法を活用した個別プライミング法と,効果検証のための援助行動測定尺度の開発と改良である。第2段階は複数の個別プライミング法を組み合わせた統合プライミング法の開発と改良である。第3段階は統合プライミング法の持続的効果の検証と改良である。上記の研究実績に記載のとおり,新型コロナウィルス感染症蔓延により2021年度に予定していた主要な研究を実施することができず,第1,第2段階を部分的に完了,進行中の状態である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は今年度の成果を踏まえて,幼児集団を対象に援助行動測定尺度を実施し,信頼性と妥当性を検討する。そして,開発した個別プライミング法を用いた介入群と比較対照群を複数設定し,両群の比較に加え介入群では前後比較で効果検証を行う。個別プライミング法は,幼児の保育・教育場面に適用可能な教材と方法を使った4種類の介入方法の開発を予定しており,現在2種類の介入方法の開発が最終段階に入っているため,完成後ただちに順次実施し,効果検証と介入方法の改良を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症蔓延により,認定こども園や幼稚園の幼児に対する調査や個別プライミング法の実施の際に必要となる複数の研究補助者への謝金の多くが未使用となった。次年度は調査・介入における補助に加え,データ入力や教材作成に従事する研究補助者への謝金が予定より多く必要となる見込みである。また,国内外での学会発表に参加するための旅費や研究協力施設での研究実施や打ち合わせのための訪問などにも旅費が必要となることから,これらの費用に充てる予定である。
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