研究課題
本研究では、主に以下の2つの研究を実施した。1つは、認知症の原因疾患として代表的なアルツハイマー型認知症(AD)とレビー小体型認知症(DLB)の患者の認知機能低下の特徴を明らかにするために、AD59名、DLB12名の初診時、1年後、2年後、3年後の認知機能検査得点の推移を比較した。その結果、初診時の認知機能に関してはDLB患者のほうがAD患者よりも全体的に多少得点が低かったが、ADでは4年間の間に一定の低下が認められ、DLBでは低下があまり目立たず、検査によってはむしろ得点が上昇するという特徴が認められた。2つ目は、AD患者のうち3年後のCDRが不変であった18名(維持群)と、変化が見られた38名(進行群)について、初診時の各種認知機能検査の得点とその後の得点の経時的変化を比較した。その結果、初診時の維持群と進行群のMMSE得点はそれぞれ22.9点、23.0点で有意差はなく、WMS-R、FABでも有意差はなかった。しかし、ADAS-Jcog.ではそれぞれ10.1点、14.2点で有意差があり、また時計描画テスト(CDT)でそれぞれ9.2点、8.1点で有意差があった。その後の経時的変化では、MMSEとADAS-Jcog.で両群間で得点変化に有意差があったが、それ以外の検査では有意差はなかった。本結果より、軽度アルツハイマー型認知症患者のうち、MMSE得点に比してADAS-Jcog.やCDTの得点が低い者に関しては、その後進行しやすい可能性が示唆された。本研究より、初診時のMMSEが比較的維持されている場合でも、より詳細な検査を実施することを検討する必要性が示唆された。本研究成果については、次年度以降に学会や専門誌にて公表予定である。
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Psychogeriatrics
巻: 24 ページ: 404~414
10.1111/psyg.13086
巻: 23 ページ: 831~837
10.1111/psyg.13006
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