研究課題/領域番号 |
21K03051
|
研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
酒井 佳永 跡見学園女子大学, 心理学部, 教授 (60349008)
|
研究分担者 |
谷口 恵子 東京福祉大学, 心理学部, 講師 (50383138)
横山 恵子 横浜創英大学, 看護学部, 教授 (80320670)
蔭山 正子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80646464)
前田 直 杏林大学, 保健学部, 助教 (80723494)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 家族心理教育 / 家族支援 / 配偶者支援 / 精神疾患 / 精神障害 / 双極性障害 / ICT |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①家族が自分のニーズに合わせて柔軟に利用できるオンライン家族心理教育ツールキットを使ったプログラムを、英国の事例に倣って開発し、有用性を検討すること、②ピアサポートを活用した家族心理教育プログラムである「家族による家族学習会(配偶者版)」を精神疾患患者の配偶者を対象にオンラインで実施し、その効果を検討することである。 令和3年度は、①の準備として、精神疾患患者と同居する家族10名を対象に、疾病の経過における各段階で、家族がどのようなことに困難を感じ、どのような情報を必要としていたかに関するインタビュー調査を行った。インタビュー調査の結果は、現在、逐語録の分析を行っている。また双極性障害患者の家族が必要としている情報について200人を対象としたWebによる質問紙調査を実施した。その結果、対象者の8割以上が躁症状とうつ症状、治療、再発と再発予防、家族の対応、様々な支援制度、急な症状悪化時の対応方法に関する情報が必要だと回答した。また、精神疾患の診断、症状、経過に関する情報を提供された程度と家族のエンパワメントの間には弱い正の相関があり、家族が「情報を提供された」と評価しているほど、家族のエンパワメントが高い傾向が認められた。今後、これらの結果をふまえたオンライン家族心理教育の内容を作成する。 また②については令和4年1月から2月にかけて、精神疾患を持つ人の配偶者を対象とした「家族による家族学習会(全5回)」をオンラインで実施した。「家族による家族学習会」参加者のうち、同意が得られた方を対象に、学習会前後のアンケート調査およびインタビュー調査を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大が続き、対面での調査やプログラムを実施することができていない。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、①家族が自分のニーズに合わせて柔軟に利用できるオンライン家族心理教育ツールキットを使ったプログラムの開発、②配偶者版「家族による家族学習会」をオンラインで実施し、その効果を検討することである. ①については、令和4年度は、令和3年度の研究成果をふまえて、オンライン家族心理教育の内容を作成し、精神疾患の当事者や家族からのフィードバックを得て修正を行う。そのうえで、オンライン家族心理教育を実施するためのホームページを立ち上げる。令和5年度以降に、オンライン家族心理教育の利用者を対象とした、有用性に関する調査を実施する。 ②については、引き続きオンラインで「家族による家族学習会」を実施し、学習会への参加が参加者にもたらす影響について、質的、量的に分析を行う。また新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況をふまえて、対面で実施する「家族による家族学習会」も実施し、両者の比較や、それぞれのメリット、デメリットについても検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
科研費申請時における研究費の使用計画に対し、採択時の充足率が低かった。令和4年度に作成予定であるホームページの作成、および令和4年度以降に実施予定の調査に比較的多くの支出が見込まれるため、令和3年度は支出を抑えて研究を行った。
|