研究課題/領域番号 |
21K03059
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
矢崎 大 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (40807111)
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研究分担者 |
毛利 伊吹 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (20365919)
酒井 由美子 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (50772399)
野藤 夏美 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (50807112)
舘野 由美子 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (80570449)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 新型コロナウイルス感染症 / 看護師 / 心的外傷後成長 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)に対応した医療従事者は、感染のリスクだけでなく、周囲からの差別や偏見にもさらされ、感染対策に伴う業務負荷の増大、これまでおこなっていた通常業務が遂行できないジレンマ、一般的な基準よりも厳しい私生活での活動制限等を経験した。しかし、このような過酷な状況を経た経験が医療従事者の心理的成長を促進したという研究報告も得られている。 そこで、当研究チームでは、COVID-19流行期に総合病院で勤務していた看護師を対象に、心的外傷後成長とそれを促進する要因(ソーシャルサポート、スティグマ、道徳的気づき、コーピング等)の関連を検討する質問紙調査を実施した。244名から得られた回答をもとに重回帰分析を行った結果、同居人あり、スティグマ、道徳的傷つき、ソーシャルサポート、肯定的再開者の5つの変数が有意に心的外傷後成長を予測することが示された。心的外傷後成長のモデルでは、人が自身の世界観を揺るがされるような出来事を経験することから、そのプロセスが始まっている(宅,2021)。コロナ禍において、看護師が自身のスティグマを意識したり、道徳的傷つきを感じたりすることは、本人の自己感を危うくするような事態であり、これらが外傷後成長を予測するという今回の結果は、このモデルに沿うものと考えられる。また、このモデルでは、打ち砕かれた世界観等を徐々に見直していくことになると考えられているが、肯定的再解釈というコーピングはこれを促進する可能性があることが示された。 本研究結果について、2024年度の心理臨床学会で発表する手続きを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の当初の計画では、量的研究に続いて質的な研究を行う方針としていたが、質的研究については着手できていない。 質的研究については、2024年度に実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に実施した質問紙調査については、2024年度の心理臨床学会で発表するよう準備を進めている。 また、2024年度には新たに看護師を対象としたインタビュー調査を実施していく予定であり、COVID-19流行時に看護師がどのようなソーシャルサポートを得ていたか、それがどのような点でプラス(あるいはマイナス)に働いていたかを、個人の体験を通して具体的に掘り下げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が育児休業取得したため、研究計画が当初の予定よりも遅れ、次年度使用額が生じた。 次年度に質的研究を進めていくなかで、助成金の残額を使用していく。
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