研究課題/領域番号 |
21K03065
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
野田 哲朗 大阪人間科学大学, 心理学部, 教授 (00769979)
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研究分担者 |
永浦 拡 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (10836224)
堤 俊彦 大阪人間科学大学, 心理学部, 教授 (20259500)
藤田 益伸 人間総合科学大学, 人間科学部, 准教授 (90537797)
大野 太郎 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (40368410)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | COVID-19 / ACEs / PCEs / K6 / 孤独感 |
研究実績の概要 |
我々は、COVID-19パンデミックが大学生のメンタルヘルスに及ぼす影響、悪化予測因子の検討を行ってきた。 目的:2023年は、COVID-19パンデミックが大学生に与えた心理的影響について、児童期逆境体験(ACEs)と児童期肯定的体験(PCEs)が精神的健康にどのような影響を及ぼすかに焦点を当て研究を行った。方法:COVID-19パンデミックピーク後の2022年10月26日から31日にかけて、大学生3000人を対象にウェブ調査を実施した。メンタルヘルス評価には、抑うつ症状および不安症状に対するKessler Psychological Distress 6-Item Scale(K6)日本語版、心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状に対するImpact of Event Scale-Revised(IES-R-J)、COVID-19に対する恐怖、3項目の孤独感尺度を用いた。結果:回答者のうち、46.9%が抑うつ不安症状を、55.4%がPTSD症状を、37.3%がCOVID-19への恐怖を訴えた。現在の精神科治療歴、収入の減少(親または個人)、ゲーム障害の疑いなどの因子は、抑うつ不安症状、PTSD症状、孤独感の悪化を予測した。ACEsは抑うつ不安症状およびPTSD症状を悪化させ、PCEsはこれらの症状を緩和し、逆もまた同様であった。 結論 この研究は、大学生の精神的健康を支援する上で、ACEsとPCEsの両方を考慮することの重要性を強調している。PCEsは、ACEsが存在する場合でも、抑うつ不安症状やPTSD症状を含む精神的健康の悪化を独立して予防することが明らかになった。ポジティブな幼少期の経験を認識し、育むことは、メンタルヘルス問題を軽減するための効果的な戦略として浮上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究者のうち2名が関西の大学から北海道、埼玉の大学に異動し、Zoomでの研究会となり、十分な議論やデータの分析ができなかったこともあり、研究がやや滞るところがあった。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19が感染症法5類に指定された後の、大学生のメンタルヘルスの状態を把握するために2024年2月に3000人の学生を対象にweb調査を行った。この研究では、学生のメンタルへルスに及ぼす影響を、ACEs、PCEs、孤独感、SOC(sence of coherence),ソーシャルサポート、嗜癖行動の変化の観点から調査検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者のうち2名が異動になり、研究に従事するのに時間がかかったこと。2023年5月までCOVID-19が感染症の2類に位置付けられ、研究がスムースに行えなかったことによる。
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