研究課題/領域番号 |
21K03070
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
安部 博史 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (20344848)
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研究分担者 |
山本 武志 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (00364167)
矢田 浩紀 帝京大学, 福岡医療技術学部, 准教授 (80644442)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多職種連携 / 多職種連携教育 / 多職種連携協働 / 公認心理師 / 公認心理師法第42条 |
研究実績の概要 |
保健医療,福祉,教育,産業,司法の場において,心理職を含む多職種連携協働(IPW)が十分に機能していない理由の一つに,心理職向けの多職種連携教育(IPE)が,他職種より遅れている現状があると考えられる.本研究では,IPWにおいて公認心理師がその専門性を十分に発揮し活躍するための大学・大学院における体系的なIPEプログラムの開発を目指すことを目的としている.3年計画のプロジェクトにおける初年度においては,「国内外の心理職向けIPEの実態調査を行うこと」を目的の一つとする.国内では「心理学を学べる大学(日本心理学会HP)」より,心理職の養成課程が設置されてい る 大 学 ,および 国 外 の 大 学 に つ い て は , 国 際 学 術 雑 誌 Journal of Interprofessional education において5年以内に投稿されたIPEに関する論文が掲載された著者が所属し,心理職の養成課程が存在する大学を対象として調査を行っている.特に,①IPWおよびIPEに関して世界的に指導的な役割を果たしている英国のCAIPE(The Centre for the Advancement of Interprofessional Education)による,IPEの定義を満たす内容か,②初年次から学年進行とともに積み上げていくものか,③到達目標は明確か,④日本保健医療福祉連携教育学会より提案された(2015)5つの多職種連携コンピテンシー(患者中心,職種間コミュニケーション,役割の遂行,関係性への働きかけ,リフレクション)をどの科目で何年次に習得させるのか,⑤座学・演習・実習で扱われる内容およびその割合,⑥評価方法,⑦保健・医療・福祉だけでなく,教育・産業・司法などの場面を想定するプログラムが存在するか,などについて焦点を当てて検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外の心理職向け多職種連携教育(IPE)の実態調査を行うことを目的の一つとした.特に,国内外の文献や,国内外のホームページで公開されている情報の検索・精査を通じて,その実態を検討している.また,これらの調査過程において,不明確な点について整理を行っており,次年度以降の機関等に対する調査で使用する質問項目の吟味を行うことができた.一方,国内外の移動を必要とする調査・研究活動は,計画通りに展開できていない.
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今後の研究の推進方策 |
今後,「IPWにおいて心理職に期待される役割」および「そのために必要な教育・経験について」を,臨床心理技術者・医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・社会福祉士・児童福祉司・社労士・警察官などへの調査により明らかにする。これらの結果をもとに,最終的に「保健医療,福祉,教育,産業,司法の現場で活躍する心理職向けの体系的なIPEプログラムの提案・構築を企図する」予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
新型感染症が想定外に遷延し,予定していた国内外への調査研究が遂行できなかった.また,学会の多くは遠隔開催のままであり,学会参加に必要となる旅費の支出はなかった.対面での調査やインタビューなどが実施できなかったために,謝金やテープ起こしのための謝金が発生しなかった.初対面の相手に対し,業務に関する繊細な内容を質問する必要があるため,テレビ電話などのITを利用することは望ましくないと考えられる.しかしながら,2022年度も同様の状況になった場合にはやむを得ず,テレビ電話などのITを利用するなどして,研究を進めることとする.
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