研究課題/領域番号 |
21K03072
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研究機関 | 尚絅学院大学 |
研究代表者 |
池田 和浩 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (40560587)
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研究分担者 |
佐藤 拓 明星大学, 心理学部, 准教授 (10577828)
西浦 和樹 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (40331863)
川崎 弥生 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (80846105)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自伝的記憶 / エピソード未来思考 / 転換的語り直し / 心理的健康 / うつ / 希望感 |
研究実績の概要 |
本研究は,エピソード未来思考の概括化によって生じた機能不全が引き起こす将来への希望感の喪失という特性に着目し,新たな認知的メカニズムに基づいて「うつ」の発生を予測する基準を策定することを目的としている。令和3年度は,エピソード未来思考と転換的語り直し特性の関連について質問紙を用いた検証を行った。 具体的には,未来のメンタルタイムトラベル能力を示すエピソード未来思考と,個々人が過去を他者に語る際の認知的特性の関係を検証した。加えて,認知特性と心理的健康の関連性を検証するため,主観的希望感とうつの特性も調査した。62名の参加者がオンラインにて次の質問項目に回答した。(1)EFT-T, (2) Re-TALE, (3) QIDS-SR, (4) HHS。 EFT-Tのテスト作成者からコーディング基準を直接譲りうけ,筆者と英語が堪能な分担研究者(川﨑氏)とで翻訳を行ったのち,翻訳した基準を用いて得られたエピソード未来思考を分類した(1 = 具体的な未来思考,2 = 拡張された未来思考,3 = カテゴライズされた未来の思考,4 = セマンティック・アソシエイト,5 = 誤った/無関係な回答)。また,先行研究に従い,分析に際しては,基準をさらに純粋な具体的未来思考(1)と,その他(2~5)の二種類にまとめた。加えて,ReTALEおよびHHSの信頼性を確認したところαは.8から.9であった。 分析の結果,ポジティブなEFT-T得点と過去の記憶のポジティブ感情拡張特性の間に負の相関が確認された。一方,認知的転換特性は,QIDSに負の相関が,HHSとの間に正の相関が認められた。これらの結果は,肯定的な感情を拡張するように他者とナラティブを共有することが,具体的な未来をイメージする能力,特にポジティブなイメージの欠如に関係していることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は初年度であったため,研究計画に基づき倫理申請を行い,これに承認得たのち,予定通りに研究を開始することができた。しかし,長らく続くコロナ禍の影響を受けてか,本来目標としていたデータ取得数(200)を未だ満たすことができていない。分担者への協力も得て,各所にて調査協力を依頼しているものの,現在でもデータ数100を得ることができていない現状である。今年予定している研究も並行で進めていく形で,引き続き昨年の研究のデータ取得に励みたい。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度からは転換的語り直しが抑うつ傾向者のエピソード未来思考の機能と希望感に与える影響を検証する。主に大学生を対象とした実験的検討を行う予定である。加えて,昨年度から検証を行っているデータを積み増し,得られたデータを9月に開かれるAutobiographical Memory & the Selfにて報告する。また,国内学会においてシンポジウムを開き,過去の研究成果と併せて語り直しの効果に関する研究発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた参加者が現状得られておらず,人件費の使用に至っていないことに加え,コロナ禍によって予定されていた学会がオンライン開催に変更されたため。
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