研究課題/領域番号 |
21K03074
|
研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
山本 隆一郎 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (30588801)
|
研究分担者 |
浅岡 章一 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (80386656)
西村 律子 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (10757727)
野添 健太 江戸川大学, 睡眠研究所, 助教 (90824318)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 不眠 / 注意バイアス / 認知モデル / 認知行動療法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、慢性不眠障害に特有な認知的特徴として注目されている注意バイアス(睡眠関連刺激に対して情報処理資源が奪われやすいという特徴)を評価するための日本版認知課題を作成し、認知課題成績と睡眠関連変数との関連性の検討、慢性不眠障害患者と健康対照群との成績差を検討することである。 2021年度は、睡眠関連刺激に対する注意バイアスを評価するための認知課題で使用する刺激語句の選定のための予備調査研究を実施し、その研究を基にしたドットプローブ課題を開発した。 予備調査研究は、認知課題に使用する睡眠関連語候補語ならびに当該睡眠関連語候補と出現頻度が同等の中性語候補を抽出する語句抽出フェーズ、抽出された語の妥当性(睡眠関連語候補が睡眠と関連し、対応する出現頻度が同等である中性語が睡眠と関連が小さいと判断されるかどうか)を検討するための調査研究フェーズから構成された。語句抽出フェーズでは、『連想語頻度表』、『現代日本語書き均衡コーパス』の『短単位語彙表データベース』を用い、漢字2字の睡眠関連語候補24語、ならびに当該の睡眠関連語候補と出現頻度が同等の漢字2字の中性語候補を各5語(計120語)を抽出した。その後、調査研究フェーズでは、調査会社を通じ、成人300名を対象にwebアンケートを実施し、先に抽出された語がどの程度睡眠に関連をしているかを尋ねる印象評定調査を実施した。この結果、睡眠関連語、当該の睡眠関連語と出現頻度が同程度な複数の中性語が抽出された。この結果を踏まえ、睡眠関連語と中性語に対する反応潜時差を頼りに睡眠関連刺激に対する注意バイアスを評価するための認知課題(ドットプローブ課題)が作成された。 今後はこの開発された認知課題を基に認知課題成績と睡眠関連変数との関連性の検討、慢性不眠障害患者と健康対照群との成績差を検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事前の計画では、海外ですでに開発されている認知課題を使用することを計画していたが、使用されている刺激語に文化差(睡眠文化の違い)や、先行研究での認知課題の妥当性に課題点があったことから、先行研究を整理し、新たに日本版の認知課題の作成を行った。このことにより、認知課題の作成に時間を要した。また、2021年度はCOVID-19の流行から当初予定をしていた実験室での認知課題研究を進めることが困難であった。このことから申請書に記した通り、ブラウザベースでの遠隔・非対面での認知課題の実施ができるよう環境を整備し、研究目的を変更しない形での柔軟な研究遂行の準備を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画上、当初予定していた研究については、実験室での実験が現状可能となったこと、また実験室での実験が困難であった場合の代替の方法(ブラウザベースでの認知課題)についても準備ができており、いずれの状況においても今後の研究の遂行に問題はなく、当初予定していた計画の遂行に追いつくことが可能である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行に伴い、実験室実験の実施が困難であり人件費・謝金に支出がなかったこと、当初予定していた学会出張や研究フィールドとして内諾を得ている睡眠専門医療機関への出張が困難であったため次年度使用額が生じた。2022年度は、実験が再開可能な予定であり必要な人件費・謝金等に使用する計画である。
|