研究実績の概要 |
本研究の目的は,位相・質・量がそれぞれ夢評価と主観的・客観的に評価した睡眠の質および楽観性がどのように関連するのかについて検討した。 (研究方法)対象者:40名(男性20名,女性20名,平均年齢20.8±1.2歳)を対象とした。手続き:習慣的に使用している自宅の寝具にスリープスキャンを設置し,3夜間の測定を行うと同時に,起床時に夢特性評定尺度への記入,そして,測定期間終了時までに3次元睡眠尺度(3DSS),楽観性・悲観性尺度,夢特性評定尺度(Dream Property Scale; DP 尺度)の各質問紙への記入を求めた。客観的睡眠の測定は,スリープスキャン(タニタ社製 SL-501)を用いた。寝具の下に体動センサシートを敷くだけで,睡眠時間,入眠潜時,睡眠効率,中途覚醒時間,睡眠時における30秒間毎の心拍数,呼吸数,体動数を簡便に測定ができるものである。 (結果と考察)睡眠の質と夢の内容について相関分析を行った結果,スリープスキャンによって客観的に評価した入眠時間とDP尺度の奇異性得点 (r =.401,p <.001) および評価得点 (r =-.316,p=.002)に正の相関が認められた。さらに,3DSSの量得点と活動性得点に正の相関(r =.284,p=.003),位相得点と奇異性得点の間に負の相関が認められた(r =-.509,p <.001) 。就寝時間が遅いほど日常生活では想像のできないような夢や不快・悪い夢を見ているということが示唆された。一方,睡眠リズムが整っている学生ほど賑やかで楽しい夢を見ていることが示唆された。 楽観性と夢の内容についての相関分析を行った結果,楽観性の得点とDP尺度の奇異性得点との間に弱い負の相関が認められた(r =-.298,p =.003)。楽観性の高い学生ほど心身の負担が少ない夢を見る傾向であることが示された。
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