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2023 年度 実施状況報告書

タブレット版発達スクリーニング検査の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K03082
研究機関平安女学院大学

研究代表者

清水 里美  平安女学院大学, 子ども教育学部, 教授 (80610526)

研究分担者 郷間 英世  姫路大学, 看護学部, 教授 (40234968)
船曳 康子  京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80378744)
米澤 朋子  関西大学, 総合情報学部, 教授 (90395161)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードタブレットデバイス / 発達スクリーニング検査 / 新版K式発達検査2020 / 描画課題 / ストローク分析 / 絵の指さし / 臨床事例
研究実績の概要

タブレット版描画課題(図形模写課題・人物完成課題)、「絵の指さし課題Ⅰ」および「絵の指さし課題Ⅱ」に関する本調査を継続して実施した。タブレット版の課題はすべて教示や刺激がタブレット上で提示され、教示音声が自動で流れる仕組みとなっている。これまでの試行結果を踏まえ、タブレット版課題の実施者用マニュアルとして、タブレットの操作手順と観察記録方法の説明文と記録用紙を確定した。
2023年度は新たな実施者を養成し、2歳台から8歳台までの72名(男児43名,女児29名)を対象にデータを収集した。さらに、2023年度末から療育機関の協力を得て、臨床事例への実施を開始した。2024年3月末の時点で27名(男児17名、女児10名)のデータを収集した。これにより、研究開始から2023年度末までに計247名分のデータを収集できたことになる。これらのデータはすべて、タブレット版課題の結果と併せて、熟練の検査者による新版K式発達検査2020の結果が揃っており、今後の分析に用いる予定である。
当初の計画では、予備調査で1歳6ヵ月児から5歳6ヵ月児まで18名程度、本調査で健診対象の年齢層計180名、臨床事例20例からデータを収集する予定であった。年齢層や男女の数の調整は当初の予定とは異なったが、全体として予定数を上回る協力者を得ることができた。
分析については、描画課題によって得られた定型発達児187名分について、機械学習に向けた描画と発達年齢の学習のためのデータ整備を開始し、重回帰分析により生活年齢の考慮が重要であることを示した。また、日本発達障害学会にて本研究の取り組みをテーマに自主シンポジウムを開き、約30名の参加を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画どおり 個別の新版K式発達検査2020の結果と併せて200名を超えるデータを収集することができた。年齢層ごとの男女の人数調整については当初の予定を変更した。保育園やこども園などを通して、研究に関する説明文書を配布し、参加同意が得られた対象者のみを取り扱うようにしたことから、年齢や性別を均等にはできなかったためである。しかしながら、予定を上回るデータ数が得られているため、分析にあたっての支障はないと考えられる。
得られたデータについては、分析を開始している。具体的には、描画ストロークの分析、観察結果と新版K式発達検査結果の成績比較、および実施上の不具合等の検討をおこなった。
臨床事例については、協力機関が確保でき、本格的に収集を開始したところである。2024年度も継続予定である。

今後の研究の推進方策

臨床事例のデータ収集は継続する。療育機関の心理士による観察結果については、今年度の日本LD学会にて発表予定である。外国にルーツのある子どもへの試行も、協力機関が得られれば実施する。これらの結果を踏まえ、今後の臨床事例への適用の可否について、研究分担者と医療的な診断の立場を踏まえて検討する。
描画課題で収集したデータについては、全てを統合した特徴量での検討を継続し、国際会議での発表を目指す。
サーバー上に保存されている「絵の指さし課題Ⅰ」「絵の指さし課題Ⅱ」の反応の解析方法、反応の評価基準を検討する。
本研究全体のまとめとして、タブレット版発達スクリーニング検査の実用化可能性を評価したうえで、実用にあたっての留意点やマニュアル作成をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

本研究の計画では、専門資格者等による個別の発達検査の実施に関わって、その検査者への謝金を含めた人件費を概算していた。しかしながら、一部のデータ収集については療育機関等の理解により無償での協力が得られたこと、申請者自身も検査者としてデータ収集をおこなったことにより、人件費を大幅に減らすことができた。
人件費に余裕が生じたため、2024年度も追加でデータ収集をおこなう。関西圏外の地域の協力が得られる見込みなので、定型発達児のデータ数をさらに増やすことと併せて外国にルーツのある子どもへの適用についても検討する予定である。
使用計画として、データ分析(機械学習)とプログラムの調整のための専門家への謝金、および分析に必要な機器の購入である。また、学会発表のための諸費用も予定している。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] タブレット版発達スクリーニング検査の開発-描画課題の実装と試行ー2024

    • 著者名/発表者名
      清水里美・岡田佑一・米澤朋子
    • 雑誌名

      平安女学院大学研究年報

      巻: 24 ページ: 30-39

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 幼児のあいさつの発達と生活能力との関連2024

    • 著者名/発表者名
      田中駿・大久保圭子・井上和久・清水里美・落合利佳・加藤寿宏・池田友美・牛山道雄・ 郷間英世
    • 雑誌名

      子どもの健康科学

      巻: 25 ページ: 17-27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 発達がアンバランスな幼児の身体模倣の発達とその特徴2023

    • 著者名/発表者名
      田中駿・牛山道雄・郷間英世・石倉健二
    • 雑誌名

      LD研究

      巻: 32 ページ: 90~97

    • DOI

      10.32198/jald.32.2_90

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] この20年で子どもの発達は変化したのか:新版K式発達検査2001と2020の標準化資料の比較から2023

    • 著者名/発表者名
      田中駿・牛山道雄・郷間英世・石倉健二
    • 雑誌名

      発達・療育研究:京都国際社会福祉センター紀要

      巻: 39 ページ: 3-9

  • [雑誌論文] 入門講座 小児リハビリテーションに必要な評価法・11 発達障害の特性別評価-Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD(MPSA)2023

    • 著者名/発表者名
      船曵康子
    • 雑誌名

      総合リハビリテーション

      巻: 51 ページ: 1209~1214

    • DOI

      10.11477/mf.1552202975

  • [雑誌論文] Well-beingの視点から見た教育・医療・福祉のこれから.医療の視点からの地域連携2023

    • 著者名/発表者名
      船曵康子
    • 雑誌名

      LD研究

      巻: 32 ページ: 68-69

  • [学会発表] タブレット版発達スクリーニング検査の作成と試行(2)2024

    • 著者名/発表者名
      清水里美・米澤朋子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第35回大会
  • [学会発表] 人間の精神発達曲線への多項式のあてはめ:新版K式発達検査2020の認知・適応領域の標準化資料の分析から2024

    • 著者名/発表者名
      清水寛之・田中駿 ・清水里美・足立絵美・郷間英世
    • 学会等名
      日本発達心理学会第35回大会
  • [学会発表] 人間の精神発達曲線への多項式のあてはめ:新版K式発達検査2020の言語・社会領域の標準化資料の分析から2024

    • 著者名/発表者名
      田中駿・清水寛之・清水里美・ 足立絵美・ 郷間英世
    • 学会等名
      日本発達心理学会 第35回大会
  • [学会発表] 発達スクリーニングのためのタブレット図形描画における筆跡特徴量の抽出2024

    • 著者名/発表者名
      美馬亮太・ 岡田佑一・ 清水里美・ 米澤朋子
    • 学会等名
      HI学会研究会
  • [学会発表] ユーザーの発話積極性に連動するキャラクタの応答表現の印象2024

    • 著者名/発表者名
      松村直希・米澤朋子
    • 学会等名
      電子情報通信学会MVE研究会
  • [学会発表] 協働学習時におけるエージェントの共感的な身体動作の影響2024

    • 著者名/発表者名
      角谷ひなた・米澤朋子
    • 学会等名
      HAIシンポジウム2024
  • [学会発表] タブレット版発達スクリーニング検査の開発絵の指さし課題の作成2023

    • 著者名/発表者名
      清水里美・米澤朋子
    • 学会等名
      日本LD学会第32回大会
  • [学会発表] これからの発達評価 発達スクリーニングにおけるICT の活用2023

    • 著者名/発表者名
      清水里美・郷間英世・岡田佑一・森本優一・船曳康子
    • 学会等名
      日本発達障害学会第58回研究大会自主シンポジウム
  • [学会発表] 新版K式発達検査2020の活用可能性2023

    • 著者名/発表者名
      郷間英世・清水里美・ 田中駿・全有耳・神尾陽子
    • 学会等名
      日本発達障害学会 第58回研究大会自主シンポジウム
  • [学会発表] ASDにおける処理速度の検討ー記憶機能・発達特性の観点からー2023

    • 著者名/発表者名
      宮本博行・西田駿輝・船曵康子
    • 学会等名
      日本発達障害学会第58回大会
  • [学会発表] モーフィングを活用したWeb会議の「顔出し」促進システムー他者間・自己類似化モーフィングされた初対面の他者の印象への影響ー2023

    • 著者名/発表者名
      吉次俊輔・美馬亮太・米澤朋子
    • 学会等名
      情報処理学会関西支部大会

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公開日: 2024-12-25  

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