研究課題/領域番号 |
21K03088
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
坂本 麻衣子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10720196)
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研究分担者 |
松下 修三 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任教授 (00199788)
山之内 純 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (10423451)
中田 浩智 熊本大学, 病院, 准教授 (40628492)
山口 武彦 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 准教授 (50713442)
南 留美 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, その他 (80333516)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 認知機能 / IADL / HAND / 行動エラー |
研究実績の概要 |
本研究の2年目となるR4年度の1つ目の目標は、開発してきたHIV-associated Neurocognitive Disorders (HAND)のスクリーニング検査の標準値構築のため、引き続き健常者からデータを収集することと、同検査をHIV感染者にも実施して頂き、HANDに対する感度と特異度を評価することであった。1年目に収集したHIV感染者の平均年齢と教育年数を評価したところ、先行研究で発表されている年齢及び年数と比較して、本研究に参加したHIV感染者の年齢・教育年数ともにやや高いことが分かったため、50-60代の健常者に本研究への参加依頼を行い、データ収集を行なった。2つ目の目標は、スクリーニング検査実施時の参加者の行動をビデオ撮影し、行動エラーの解析をすることであった。Post-error slowing (PES)・micro error (MC)の観点から行動解析をしたところ、認知機能検査の中でもHAND、さらには軽度の無症候神経心理学障害 (ANI)を鑑別できる感度の高い検査を見つけることができた。さらにシステムの使用感についても評価を行ったが、参加者から「使いやすかった」「本番の前に練習をすることで、何をしないといけないかが明確で分かりやすかった」などの意見があり、将来的に待合室で患者がひとりで実施できるという実感を得ることができた。スクリーニング検査実施時間は40分から50分程度で当初の目標に非常に近く、被験者の時間的・心理的負担を最小限に抑えることができたのではないかと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定ではR3年度とR4年度の2年間で、健常者100名、HIV感染者100名からデータ収集を行うことを目標としていたが、長引く新型コロナ感染拡大と行動規制を受け、目標にわずかだが届いていない。しかし確実にデータ収集を続けていること、またR5年に入って新型コロナ感染に対する規制が大幅に解除されたことから、予定通りのペースに戻すことができると予測している。この点を踏まえると、おおむね計画通りに進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、目標である健常者100名、HIV感染者100名からのデータ収集を完了する予定である。また、アイトラッキングシステム・モーションセンサーなどの行動計測技術を用いて、さらに斬新な動作エラー解析を行う予定であるが、目線および瞬きを評価できる最新のVRヘッドセットが開発・発売されたことを受け、HANDスクリーニング検査を改善する必要がある。検査の開発を担当している共同研究者と密に連絡をとり、より早く検査のアップデートが完了できるよう作業を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022・2023年度目標として、アイトラッキングシステム・モーションセンサーなどの行動計測技術を用いて 斬新な動作エラー解析を行う予定であったが、前年度に機材の購入まで進まなかったため、本年度購入し解析を進めていく予定である。また新型コロナ感染に対する国内外での渡航規制が取り下げられたことを受け、積極的に共同兼研究者会議及び学会発表を行う予定である。
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