研究課題/領域番号 |
21K03089
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研究機関 | 敦賀市立看護大学 |
研究代表者 |
石橋 佐枝子 敦賀市立看護大学, 看護学部, 講師 (90721663)
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研究分担者 |
宮脇 大 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20336788)
牧野 拓也 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (20813752)
鈴木 太 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命准教授 (30542683)
小坂 浩隆 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (70401966)
木村 拓磨 名古屋経営短期大学, 子ども学科, 講師 (70772028)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 外在化障害 / ADHD / 素行症 / 反抗挑発症 / 児童青年期 |
研究実績の概要 |
我が国の児童青年,若年成人の自殺率は世界屈指の高さであるが,重篤な自殺性と衝動性が問題となる境界性パーソナリティー障害(BPD)の前駆状態と考えられている反抗挑発症,素行症といった児童青年の外在化障害に関する研究は乏しく,これらに影響する因子はまだ明かされていない. 本研究では児童青年期の外在化障害を含む臨床例に対して,(1)国際的に使用されている質問紙Disruptive Behavior Disorder Rating Scale (DBD-RS)とADHD Rating Scale for DSM-5(ADHD-RS-5) に対し構造化面接(K-SADS-PL-5)を本邦で初めて導入し,また子どもの行動チェックリスト(CBCL)等の既存尺度との比較を行い,その心理測定学的特性を調査している.DBDRS,ADHD-RS-5の心理測定学的特性を尺度研究で検討した上で,(2)前向き観察研究により,Disruptive Behavior Disorder(DBD)症状に関する本人や家族の受けとめや評価,必要な介入について探索的研究を行い,児童青年期の外在化障害の心理的要因,ハイリスク群への有効な介入体制を構築するための基礎的データを得ることを目的としている. 2021年度に途中経過を報告したDBD-RSとK-SADS-PL-5診断,CBCLとの比較検討に加え,2022年度はADHD-RS-5を含めた内的一貫性,試験再試験信頼性,基準関連妥当性,構成概念妥当性について必要なデータ数を集め解析を行った.2023年度は解析を終え発表可能となったものから学会発表を行い,論文化していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021~2022年度に福井大学および敦賀市立看護大学,その他の参加施設の倫理委員会による承認を得た上で承認の得られた施設からDBD-RS,ADHD-RS-5を用いた尺度研究を開始した.各尺度研究において,内的一貫性,試験再試験信頼性,基準関連妥当性,構成概念妥当性の検討を行い,2021年度にその途中経過について学会発表を行った.2023年度に引き続きDBD-RS,ADHD-RS-5の信頼性と妥当性について十分なデータが収集され解析可能となったものから学会発表を行い,論文投稿の準備を行っている.一方で観察研究に関しては,コロナ禍により在院時間の短縮・転院・治療終結後の患者の追跡が困難となり解析に必要な数のデータ収集が困難な状態である.このため研究目的達成のために,実現可能な研究方法を再検討しているため,進捗が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はDBD-RS,ADHD-RS-5の信頼性と妥当性について十分なデータが収集され解析可能となったものから学会発表を行い,論文投稿していく.観察研究に関しては,コロナ禍により患者の追跡が困難となったため,質問紙調査に必要なデータ数を集めることができる方法を再検討する.また研究目的達成のために質問紙調査だけでなく,質的な評価を検討している.具体的には,本人と親等を含めたネットワークとの対話実践(オープンダイアローグ等)により,Disruptive Behavior Disorder(DBD)症状に関する本人や家族の受けとめや評価,必要な介入について探索的な検討を行い,ハイリスク群への有効な介入体制を構築するための基礎データを得たいと考える.このため,対話実践に関する研究チームのスキル向上のための必要経費(研修受講費等),研究参加者への謝金,質問紙調査のWEB回答に係る費用を計上する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため,1回あたりに被験者リクルートできる人数が限られたことで,尺度研究の被験者リクルートに大幅に時間がかかり,研究の進捗が全体的に遅れていること,また治療中断および転院者の多くに再度リクルートすることが困難な状況であり,研究目的の達成のため,質問紙調査だけでなく質的調査を含めた観察研究の研究方法を再検討している. 具体的には,本人と親等を含めたネットワークとの対話実践(オープンダイアローグ等)により,Disruptive Behavior Disorder(DBD)症状に関する本人や家族の受け止めや評価,必要な介入について探索的な検討を行い,ハイリスク群への有効な介入体制を構築するための基礎的データを得たいと考える.このため,対話実践に関する研究チームのスキル向上のための必要経費(研修受講費等),研究参加者への謝金,質問紙調査のWEB回答にかかる費用を次年度以降に計上する.また尺度研究データや観察研究データの解析について,Mplus等の多変量解析ソフトが必要である.現在使用しているパソコンが多施設との研究会議やデータ収集で使用できるようノートパソコンであるため,解析をスムーズに行うためにはより多くのデータ処理能力を持つデスクトップパソコンが必要であり,これらの経費に充てたいと考える.
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