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2023 年度 実施状況報告書

未診断の発達障害を有する大学生に対する自己理解促進のための支援一体型調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K03092
研究機関中央大学

研究代表者

山科 満  中央大学, 文学部, 教授 (40306957)

研究分担者 高口 僚太朗  長岡技術科学大学, 男女共同参画推進室, 主任UEA兼特任講師 (80824341)
菊地 創  松蔭大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90965352)
番園 寛也  中央大学, ダイバーシティセンター, 嘱託職員 (10985485)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード発達障害 / 大学生 / 自己理解 / 修学支援 / ピア・サポート / 伴走型支援 / 障害の社会モデル
研究実績の概要

中央大学で各学部に配置されているキャンパスソーシャルワーカーによる修学支援を受けている学生、および在学中に支援を受け卒業した人を対象とした面接調査を継続した。2023年度までで実数で23人から協力が得られ、2023年度は24回の面接調査を行った(一部の人には年度内に2回の面接調査を行った)。
さらに、中央大学内で活動している当事者によりピア・サポートグループへの支援的介入による調査、複数大学の一般学生を対象にした質問紙による量的調査も実施した。
得られた成果の概要は以下のとおりである。発達障害のある学生の自己理解を深化・発展させうる環境調整的な支援体制とは、支援のキーパーソンが個々の学生の特性や心理面でのアセスメントを行った上で、具体的な配慮内容を教員や事務職員との連携の上で決定し、教員や事務職員を含む支援者が学生ひとり一人への学びへの配慮を示すことができるものである。その体制のもとで学生は試行錯誤を重ねることになるが、その過程に寄り添う伴走者がいることも必要な条件と思われた。また、支援者からの支援とは別に、当事者によるピア・サポートの重要性も示された。障害の社会モデルと自己理解を促す支援はけっして矛盾するものではなく、支援の両輪として機能することも示された。傍証として、ドイツ・ベルリンでの当事者家族からの聞き取り調査で、自閉症児に対する社会的支援における行政のソーシャルワーカーが伴走型支援を提供していく中で当事者家族の障害理解・受容が進むことが明らかになった。
得られた成果は、日本ピアサポート学会第21回大会(高口ら)、日本LD学会第32回大会(番園ら)、第61回全国学生相談研修会(山科)、日本健康心理学会第36回大会(菊地ら)、第45回全国大学メンタルヘルス学会総会 (山科ら)で発表した。これらは4本の投稿論文としてまとめられ、掲載、掲載決定、査読中といった状況にある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

確かな研究成果が得られ、その内容が学会発表および投稿論文という形で公表されている。特に、今年度だけで査読対象の論文4本を投稿し、最終年度における学会発表および論文投稿が準備されている。研究成果の書籍化についても、出版社と交渉中である。さらに、4年生や卒業生を対象とした面接調査により、就労移行時における課題が浮かび上がり、これは次の研究テーマとなることが明確になっている。

今後の研究の推進方策

計画の大きな変更はない。就労移行場面における課題に関する調査面接を、少数の学生・卒業生に行い、予備的報告を行う。継続している量的調査研究においても学会発表および論文投稿を行う。
本研究の成果に基づいて、新たな研究の展開を準備する。

次年度使用額が生じた理由

2024年2月に研究分担者の高口により、ドイツにおける調査研究を実施した。その際の旅費支出を円滑に行うために、次年度交付金から20万円を前倒し請求した。一方で、研究計画に基づき、次年度も複数回の学会発表を行うが、その際に研究協力者や自主シンポジウムの指定討論者にも旅費を支出する必要があることから、今年度は支出をやや抑えめにして、次年度の出張旅費を確保することとした。
次年度は最終年度であり、補足的な面接調査と出張旅費および学会参加費で残額を生じること無く使い切ることになる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 「家庭教育」あるいは「家族」を考える一視点―ドイツにおける疾病および障害のある子どもとその母親への聴き取りから―2024

    • 著者名/発表者名
      高口僚太朗、菊地創、山科満
    • 雑誌名

      長岡技術科学大学教職課程年報

      巻: 10 ページ: 31-38

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 対人援助職養成課程での実習における発達障害学生への合理的配慮の現状と課題2024

    • 著者名/発表者名
      菊地創
    • 雑誌名

      教育文化研究

      巻: 15 ページ: 51-63

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 3大学の比較から考える大学におけるピア・サポートの意義2023

    • 著者名/発表者名
      高口僚太朗, 山科満, 菊地創, 番園寛也, 山田日吉, 和田安弘
    • 学会等名
      日本ピアサポート学会第21回大会
  • [学会発表] 障害の社会モデル」の視点からの「自己理解」再考:大学での発達障害学生支援における診断、アセスメント、伴走型支援、ピア活動と「自己理解」2023

    • 著者名/発表者名
      番園寛也, 山科満, 石川千佳子, 菊地創, 高口僚太朗
    • 学会等名
      日本LD学会第32回大会
  • [学会発表] 薬物療法を意識した発達特性の「見立て」と支援の実際について2023

    • 著者名/発表者名
      山科満
    • 学会等名
      第61回全国学生相談研修会
    • 招待講演
  • [学会発表] 大学生の発達障害特性と強み認識および抑うつとの関連2023

    • 著者名/発表者名
      菊地創, 番園寛也, 高口僚太朗, 石川千佳子, 山科満
    • 学会等名
      日本健康心理学会第36回大会
  • [学会発表] 未診断の発達障害特性を有する学生への支援体制と自己理解過程2023

    • 著者名/発表者名
      山科満, 石川千佳子, 菊地創, 番園寛也, 高口僚太朗
    • 学会等名
      第45回全国大学メンタルヘルス学会総会

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公開日: 2024-12-25  

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