研究課題/領域番号 |
21K03094
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
森本 浩志 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (20644652)
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研究分担者 |
武藤 崇 同志社大学, 心理学部, 教授 (50340477)
野村 信威 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (90411719)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 認知症 / 家族介護者 / 認知行動療法 / アクセプタンス&コミットメント・セラピー / 回想法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①認知症の人の家族介護者を対象とした集団形式のアクセプタンス&コミットメント・セラピーに基づいたプログラム(集団ACTプログラム)を開発し、家族介護者の精神的健康に対する効果を、集団形式の認知行動療法に基づいたプログラム(集団CBTプログラム)と比較検証すること、②家族介護者への心理支援(集団ACT・CBTプログラム)に、認知症の人への心理支援(集団回想法)を加えることで、プログラムの効果が高まるかを検討すること、の2点である。 2021年度は、まず本研究で実施するプログラムの効果検証に必要な尺度(EACQ; Losada et al., 2014)の日本語版(J-EACQ)の作成を行った。その結果、J-EACQは原版と同じ因子構造を有する3下位尺度15項目から構成され、十分な信頼性と妥当性を有することが確認された。 次に、本研究の目的①のデータを収集するために、6月から9月にかけて集団CBTプログラムをオンラインで実施した。本プログラムは集団ACTプログラムとの差別化を図るため、これまでに研究代表者らが開発したプログラム(森本・野村,2022)から一部変更を加えた。地域のコミュニティ情報誌と医療機関、家族会を通して4月と5月に参加者募集を行い、選定基準を満たしかつ同意が得られた家族介護者4名が参加した。本プログラムは3月にフォローアップ調査が完了している。 集団CBTプログラムの実施と平行して、集団ACTプログラムのプロトタイプを作成し、1月からオンラインで実施している。参加者募集は集団CBTプログラムと同様の方法で10月から12月にかけて行い、選定基準を満たしかつ同意が得られた家族介護者1名が参加している。本プログラムは4月に終了し、10月にフォローアップ調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の計画通り、本研究で実施するプログラムの効果検証に必要な尺度の整備が行われ、また集団CBTプログラムの実施、集団ACTプログラムのプロトタイプの作成と実施が行われているため。 一方で、コロナ禍もあり、集団ACTプログラムでは当初予定していた人数の参加者が得られていないことが課題である。また、本研究の目的②のデータ収集に先立ち、認知症の人を対象とした集団回想法のオンラインでの実現可能性を検討するため、現在、選定基準を満たしかつ同意が得られた認知症の人2名を対象として、試験的にオンラインで集団回想法を実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、引き続き集団CBT・ACTプログラムを実施する。なお、2021年度の実施において両プログラムとも改善が必要な部分が見られたため、両プログラムともに一部の資料を修正する予定である。また、十分な参加者を確保するため、参加者募集の媒体を増やす予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で学会がオンラインで開催されたことで旅費の執行が無かったことと、当初の予定より、研究参加者募集に係る広告費を抑えることができたため、次年度使用額が生じた。 2022年度は、学会の参加費および旅費、研究参加者募集に係る広告費、研究参加者への謝礼、研究参加者への書類の送付に係る通信費、プログラムの効果検証で使用する有料の心理尺度の購入費および神経心理学的検査の利用ライセンス料に使用する予定である。
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