研究課題/領域番号 |
21K03098
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
中田 行重 関西大学, 心理学研究科, 教授 (00243858)
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研究分担者 |
石田 陽彦 関西大学, 心理学研究科, 教授 (20527113)
阿津川 令子 関西大学, 心理学研究科, 教授 (70231941)
上西 裕之 大阪大谷大学, 人間社会学部, 准教授 (40847571)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | パーソン・センタード・セラピー / セラピストの態度 / インタビュー調査 / M-GTA |
研究実績の概要 |
パーソン・センタード・セラピーによる固有のクライエントの変化を測定するために2021年度に作成したセラピストの態度スケール質問紙を用いて、ウエブなどで募った臨床心理士や公認心理師に調査を実施した。そのうち、態度得点の最も高かった10名に対して、クライエントがどのように変化したかを問うインタビュー調査を行った。その音声データを逐語録に変換し、中田・上西・斧原の3名で質的研究M-GTAにより、その変化をまとめている最中である。 パーソン・センタード・セラピストの態度スケールで最も得点の高かった10名は全員がパーソン・センタード・セラピーをやっている訳ではなかった。例えば、かなり指示的にクライエントを誘導しているセラピストもいる一方で、ひたすら傾聴しているセラピストもいる。その意味ではパーソン・センタード・セラピストの態度を保持することは、必ずしもパーソン・センタード・セラピーをやっているという訳ではないことを示しているとも言えるし、そもそもパーソン・センタード・セラピーとは何か? という定義を改めて確立する必要性も示している。ともあれ、今回選出された10名は、パーソン・センタード・セラピストの高度に保持している人、ということになる。 分析途中の現在での見通しとしては、多くのインタビュー協力者の回答は、クライエントがカウンセリングのセッション中にどう変化したか、そのプロセスを描写したものである。その回答は、従来のパーソン・センタード・セラピーの理論にはない新しい知見も含まれているようである。セッション外での変化についての描写は少ない。この点についてはクライエント側に対するインタビューによってもう少し明らかになると考えられるので、この結果をまとめた後、クライエントに対するインタビュー調査を行う方が良いだろうと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度終了時点において、本来の予定ならインタビュー調査が終了するはずであったが、それが遅れたため、2022年度にまでインタビューがずれ込んだ。そして、インタビュー調査の逐語録をM-GTAで分析する作業に既に随分多くの時間を費やしているが、それでもなかなかまとまらないため、現在も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
インタビューを分析したものを今年度の人間性心理学会の大会で発表し、更に論文にまとめて投稿する予定である。また、クライエントへのインタビュー調査が時間的に可能であれば行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症のため予定していた学会大会はオンライン開催となり、交通費などが浮いたため。また、研究に遅れが生じ、研究協力者の数が少ないため。次年度は学会大会が対面で行われるので、そこに参加するための交通費として使用するほか、その大会の発表後に遅れていたインタビュー研究を行い、その研究協力者への謝金として使用する。
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