研究課題/領域番号 |
21K03102
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
窪田 由紀 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (00258576)
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研究分担者 |
伊藤 亜矢子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (50271614)
小林 朋子 静岡大学, 教育学部, 教授 (90337733)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学校コミュニティ / コミュニティ・レジリエンス / 学校危機 / リスク・マネジメント / 協働体制 |
研究実績の概要 |
1学校危機後のコミュニティの変容と回復に関するインタビュー 実際に学校危機を経験した構成員(当時の生徒,教職員)へインタビューを行い,危機に遭遇したことによる学校コミュニティの混乱,構成員の反応や,学校としての対応や支援ニーズ,日頃からの備えへのニーズについて質的検討を行った。同一事案を体験した数名の教員からは,危機後,中長期に亘る学校の回復に関わる要因に関する聴き取りが可能であった。一 2学校コミュニティ・レジリエンス概念の検討 (1)コミュニティ・レジリエンスに関する文献の検討 コミュニティ・レジリエンスに関する文献から,コミュニティ・レジリエンス概念を検討した。コミュニテイ・レジリエンスの定義としては,「予測される災害に耐え,状況の変化に適応し,混乱に耐えて迅速に回復する能力」「災害や公衆衛生上の緊急事態に耐え,適応し,回復するコミュニティの能力」などがある。コミュニティ・レジリエンス構築に向けてのプロセスは,1)協働的な計画チームの構成,2)状況の理解,3)目標設定,4)計画の作成,5)計画の準備,検討と承認,6)計画の実行と維持の6段階が提示されている。 (2)専門家インタビュー 学校経営,教育行政において豊富な経験を持つ専門家のインタビューを通して,学校コミュニティ・レジリエンスの構成要素の検討を行った。学校経営方針の明確化,協働体制の構築,人材育成,コミュニティの状況把握,構成員とのコミュニケーション機会の保障,リスクの早期発見・早期対応等,インタビュイーの立場上,管理職のリーダーシップに関する要素が多く挙げられた。今後,ミドル層や学校臨床の経験豊富なスクールカウンセラーからの聴き取りも実施し,幅広く構成要素を収集する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コミュニティ・レジリエンスに関する文献検討と専門家インタビューの結果から,学校コミュニティ・レジリエンス概念の構成要素を抽出し,それに基づいて具体的な質問項目を作成する予定であったが,研究代表者の年度一杯での所属の変更に伴う業務の過多に加え,コロナ禍も相俟って専門家インタビューへの着手が遅れた。結果として大半のインタビューをオンラインで実施したが,協力者との日程調整も年度末に向かう中で困難であったため,予定したすべてのインタビューを実施するに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,昨年度から続けて,1)コミュニティ・レジリエンスに関する文献からの学校コミュニティ・レジリエンス概念の構成要素の抽出,2)1)に関連した既存の尺度の収集,3)専門家インタビューの追加実施(学校におけるミドル・リーダー,経験豊富なスクールカウンセラー)を行い,1)~3)に基づいて質問項目を作成し,予備調査を実施する。 一方、教育委員会が学校から既に収集済みの既存のデータの中で、学校コミュニティ・レジリエンスの評価指標として活用可能なものを探索・検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度である令和3年度においては、研究分担者との対面での研究検討会を実施予定であったが、コロナ禍でオンラインでの実施となり、研究分担者の旅費が不要となった。 令和4年度は、感染状況を見て、可能な時期に対面での検討会を実施したい。
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