研究課題/領域番号 |
21K03103
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
菊池 安希子 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (60392445)
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研究分担者 |
藤井 千代 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部, 部長 (00513178)
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ドメスティック・バイオレンス / リスクアセスメント / 被害者支援 |
研究実績の概要 |
2年目は、日本で使用可能なドメスティック・バイオレンス(DV)のリスクアセスメントツールの開発に向けて、諸外国において使用されているDVリスクアセスメントツールのレビューを実施した。 レビューの結果、Danger Assessment日本版に2つの改訂を行った。 まず、これまでの予測妥当性研究のアウトカムとしては、「致死性の高い暴力」や、加害者側の再暴力(必ずしも同じ被害者ではない)が検討されてきた。また、再DVのリスクを判断には、被害者の脆弱性についての項目を含めることが、リスクアセスメント結果をマネジメントつなげる際に必要であることが明らかになった。Danger Assessmentの原板には、DVを受けた者の脆弱性をはかる項目が含まれていないため、追加する必要があると考えられた。先行研究から候補となる項目を選定し、Danger Assessment日本版に追加した。 2つ目の改訂として、Danger Assessmentの前半で行うDVのカレンダーへの記入を省略することにした。初年度に実施したフォーカスグループインタビューの結果、①DV被害を思い出して記入することは侵襲性が高いだけでなく、②カレンダーに記載された内容の情報量が、面接者の熟練度(DV被害の相談経験や面接技術)によって大きくばらつく可能性が示唆されたことによる。先行研究によれば、オリジナルのDanger Assessmentのカレンダー作業を省略し、かつ、項目を5項目に減らしたバージョンの検討も行われている(Messing, Campbell, &Snider, 2017)。使用される国や文脈に応じた項目と実施法にする必要があると考えられる。 上記の理由により、当初予定していた調査票の大幅改訂を行った。現在、全国シェルターネットの協力を得て調査を実施するための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は主任研究者の所属先変更があった。研究機関から大学に移ったことにより、初年度ということもあり、研究の時間と環境を十分に確保することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、改訂した質問票を用いた調査を実施する見込みである。新型コロナ禍の影響で急増したDV事例によるシェルター業務の逼迫が改善し、新型コロナの5類移行により、3密回避等の感染対策が大幅に緩和されたことにより、調査の実現可能性は高くなった。 DV被害の重症度として、身体的被害については含めてあるが、心理的被害についても定量化して含めることを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年4月に研究代表者が所属を変更し、初年度であったことと、研究室の移動が2回あったことから、本研究のために十分な時間と環境を整えることが出来なかった。そのため、研究の進捗が遅れた。 本年度は当初予定していた全国の女性シェルター入所者を対象として、改訂版のDanger Assessment日本版の併存的妥当性を確認するための質問紙調査を実施予定である。質問紙調査の協力者、回答者への謝金等の支出が予定されている。
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