研究課題/領域番号 |
21K03106
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
竹田 伸也 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00441569)
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研究分担者 |
福崎 俊貴 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80838764)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 介護職員 / 高齢者介護事業所 / 職場の人間関係 / 離職意図 |
研究実績の概要 |
高齢者人口の増加に伴い,今後要介護者も増えることが見込まれている。そのため,高齢者介護事業所に勤める介護職の社会的役割は,これまで以上に大きくなると思われる。一方で,介護職員の離職率は全国的に高く,介護職員の離職理由として「職場の人間関係の問題」が最も多く報告されている。そこで,今年度(研究1年目)は高齢者介護事業所に勤務する介護職員を対象とし,職場の人間関係の問題を含め,いかなる要因が離職意図にどの程度影響を与えているかを定量的に検討した。その上で,職場の人間関係の問題にはどのような内容があるかを質的に検討した。 調査は,高齢者介護事業所に勤める介護職員806人を対象とし,408人から回答を得た。質問項目は,年齢,性別,資格,事業形態,雇用形態,職階,経験年数,転職回数,夜勤回数,離職意図,職場の人間関係の問題,心理的苦痛であった。職場の人間関係の問題があると答えた人に,どのような問題か自由記述で回答を求めた。 その結果,高齢者介護事業所に勤務する介護職員の離職意図は高いことが示された。性別,職場の人間関係の問題,心理的苦痛は,介護職員の離職意図に影響を及ぼすことが明らかとなった。職場の人間関係の問題は,「コミュニケーション不足」「嫌がらせ」「業務量の不公平感」「介護業務についての考え方の違い」「部下や新人への指導困難」「ラベリング」の6因子が見出された。 本研究による知見は,介護職員の離職防止と働きやすい職場環境を整えるための具体的対策を策定するうえで重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究計画では,高齢者介護事業所に勤める介護職員の離職意図に影響を与える要因を定量的に明らかにすること,及び職場の人間関係の問題を質的に明らかにすることであった。所期の目的を達成したので,「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は,初年度に見出した知見をもとに,介護職員の職場の人間関係の問題を捉える尺度を作成する。作成した尺度を含む複数の尺度を,参加協力の得られた高齢者介護事業所に勤める介護職員に実施し,作成した尺度の信頼性と妥当性の検討を行う。 3年目以降は,2年間の成果及び当該課題に関連するレビューをもとに介護職のための職場の人間関係を改善するプログラムを開発する。開発したプログラムを3~4年目に実施し,作成した尺度を用いて効果評価を行う。最終的に,すべての結果をもとに最適化されたプログラムを,全国の介護職員が利用できるよう,オンデマンド教材の作成と公開を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費及び論文投稿料・掲載費として計上していた資金が、新型コロナウイルス感染拡大による学会オンライン開催や論文投稿が次年度に持ち越されたため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、初年度の研究成果を国際誌に投稿した際の投稿料及びオープンジャーナル掲載料として支出する計画である。
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