研究課題/領域番号 |
21K03110
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
鋤柄 増根 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (80148155)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パーソナリティ検査 / MMPI-3 / 反応の偏り / ディープラーニング / 偽装傾向 |
研究実績の概要 |
パーソナリティ検査の回答を歪める偽装傾向のような反応の偏り(response bias)の検出・補正方法を,臨床場面でよく使われるMMPIの最新版MMPI-3(申請者を代表とするグループがMMPI-3日本版を開発中)において開発する。 今年度はMMPI-3の項目の翻訳を決定し標準化データの収集をすることが中心であった。翻訳を行うに当たっては,辞書的な語義のみならず社会・文化的な意味でも原文と等しい日本語にすることを基本方針とし,バックトランスレーションとバイリンガルによる検討に基づいて決定されたものを最終版とした。この最終版は,MMPI-3原版の著作権者であるミネソタ大学による審査・承認を受けている。そして,この翻訳項目による検査用の冊子が作成された。 標準化データは,公立小松大学研究倫理審査委員会による承認(医倫2101-2)を受けた後に収集した。地域,年齢,最終卒業学校について比例配分した標準化標本を2010年度の国勢調査に基づいて抽出し,検査を実施した。事前に設定された削除基準によって不正なデータを除いた最終の標準化集団として,1236(男592,女644)名のデータが得られた。現在そのデータから基準の作成を進めている。この基準によって,MMPI-3は偽装傾向であるOver-ReportingあるいはUnder-Reportingといわれる受検態度(偽装傾向)を検出することとなっている。このような偽装的な受検態度で回答する群のデータをまず利用して,MMPI-3がもともと持っている検出方法が適切に機能するのかを確認する。この偽装傾向による受検態度で受検する群のデータ収集のための倫理審査は承認済みであり(医倫2127-2),その実施用の教示と冊子は作成されている。 ディープラーニング用のソフトは,ひな形の作成に手を付けたばかりの段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MMPI-3日本版の開発は順調に進んでおり,2022年の秋には出版できる。この前後より,Over-Reportingの受検態度(偽装傾向)で回答する群とUnder-Reportingで回答する群に,検査の実施ができる予定である。また,臨床群のデータの収集も予定通りに終わり,臨床群での偽装傾向の検出の検討もできる。したがって,このデータ収集とディープラーニング用のソフトの開発は,ほぼ予定通りに進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,データ収集の協力依頼を,MMPI-3日本版の標準化作業を依頼した協力者にしていく。もちろん申請者の所属する大学でのデータ収集もしていく,ディプラーニングのソフトは,臨床群などにも適用して検討をしていく。基本的に順調に進んでいるので,特別に推進方法として記載すること現状ではない。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回の研究に使用する冊子の印刷が次年度に延びたことと,ディプラーニング開発のソフトウェアのバージョンアップがなかったことによる。
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