研究課題/領域番号 |
21K03120
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
平 伸二 福山大学, 人間文化学部, 教授 (30330731)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 隠匿情報検査 / サイコパス / Dark Triad / 事象関連電位 |
研究実績の概要 |
現在,日本の犯罪捜査におけるポリグラフ検査は,末梢神経系活動を指標として,情報検出に基づく隠匿情報検査 (concealed information test: CIT) のみで実施している。CITは,情報を知らなければ生理反応も生起しないため,誤判定の極めて少ない検査として国際的にも定評がある。その一方で,犯人を取り逃してしまう誤判定を生じさせる可能性のあるパーソナリティ等の個人差要因については,十分に検討されていない。そこで取り上げるパーソナリティ要因は,Dark Triad (DT) という3つのダークなパーソナリティ (サイコパシー,マキャベリアニズム,自己愛傾向) である。サイコパシーは,表面的な魅力,不安の欠如など,マキャベリアニズムは,操作的な対人戦略など,自己愛傾向は,自己への過度な陶酔などを特徴としている。 2021年度は【実験1】のみを実施した。この実験は,CITへの影響を検討する前段階として,サイコパシー傾向及びDTが,標準オッドボール課題によるP300振幅に与える影響を検証した。その結果,サイコパシー尺度 (PP・SP) 及びDTの各尺度は,標的刺激に対するP300振幅に影響を与えなかった。なお,COVID-19の影響で実験参加者が16名と少なかったため,予定していた20名まで実験参加者を増やして再検証した結果,同様の結論となった。これはKiehl et al. (1999)が,P300振幅へのサイコパスの影響を認めた結果と異なっていた。2022年度以降は,標準オッドボール課題から模擬窃盗課題を実施してCITへの影響を検討する。また,刺激として純音ではなく情動要因も含まれた画像刺激も使用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験は脳波測定用のシールドルーム内で実施している。2021年度は,COVID-19の影響で緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が広島県に発令されているときには,大学の方針として実験を中止した。また,福山市の新規感染者数が2022年1月以降も収まらなかったため,実験を実施することが困難であった。 その結果,2021年度に計画していた2つの実験のうち【実験1】しか実施できなかった。ただし,この実験1については,中国四国心理学会でオンラインで発表した。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響で2021年度に計画していた2つの実験のうち【実験1】しかできなかったため,2022年度に計画していた2つの実験に加えて前年度実施予定の【実験2】も実施する。3つの実験の概要は下記の通りである。 【実験2】は「快及び不快画像呈示に対する事象関連電位へのサイコパシー傾向及びDTの影響」について,サイコパシー傾向及びDTが,快画像と不快画像に対する事象関連電位(N2,P300, LPP )に与える影響を検証する。【実験3】は「事象関連電位によるCITへのサイコパシー傾向及びDTの影響」について,サイコパシー傾向及びDTが,事象関連電位を指標としたCITの裁決項目反応量(裁決項目-非裁決項目)に与える影響を検証する。【実験4】「顔画像刺激呈示のCITに対する事象関連電位へのサイコパシー傾向及びDTの影響」について,サイコパシー傾向及びDTが,表情画像を裁決項目としたCITの裁決項目反応量(裁決項目-非裁決項目)に与える影響を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19などの影響により予定していた2つの実験が1つしかできなかった。そのため,実験のための消耗品,実験協力者への謝金の支出が半減した。また,緊急事態宣言発令,海外渡航規制により,研究成果発表及び情報収集のための国内学会及び国際学会に参加できなかった。これらのことから2022年度分には,予定していた実験を一つ増やして3つ実施し,その実験に必要な消耗品,謝金を増額するとともに,脳波解析を主目的としたノートパソコンの購入に充てる。また,対面での開催が予定されている国内外の学会参加のための費用とする。
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