研究課題/領域番号 |
21K03120
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
平 伸二 福山大学, 人間文化学部, 教授 (30330731)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 隠匿情報検査 / サイコパス / Dark Triad / 事象関連電位 |
研究実績の概要 |
2020年度は実験2と実験3を実施した。実験2は「快及び不快画像呈示に対するP300振幅へのサイコパシー傾向及びDTの影響」であり,サイコパシー傾向及びDTが,快画像と不快画像に対するP300振幅に与える影響を検証した。質問紙は実験1と同じであった。画像は国際感情画像刺激集(IAPS) から感情価が1.0-3.9を不快,4.0-6.9を中性,7.0-9.0を快として各10枚合計30枚の写真画像を選択し使用した。実験参加者には,呈示される画面を注視させるだけの受動的パラダイムを用いた。N2振幅はCz,P300振幅はPzを分析対象とし,それぞれ200-300 ms と300-600 ms間の最大振幅を求めた。各尺度を高群と低群に分けて行った分散分析の結果では,自己愛傾向の群間に主効果が認められたが,刺激の主効果及び交互作用は認められなかった。また,その他は何れも群間の主効果が認められず,サイコパシー尺度及びDTの各尺度は,N2及びP300振幅に大きな影響を与えていなかった。 実験3は模擬窃盗課題を用いたP300を指標としたCITへのサイコパシー傾向及びDTの影響について検証した。実験参加者は,模擬窃盗課題遂行後,盗んだ品物を脳波測定によるシステムで検出されないように隠匿するように求められた。模擬窃盗課題を実施した結果,P300振幅はDTと各DT尺度において標的,裁決,非裁決の順に有意に増大していることが示された。したがって,P300によるCITにおいて非裁決よりも裁決に対してP300振幅が増大するという先行研究 (平, 2009)を支持した。一方,検出率については,すべての尺度において裁決と非裁決の間に大きな差はみられず,研究1と同様にKiehl et al.(1999, 2006)の研究は支持されず,サイコパシー傾向及びDTはCITの正確性に影響を及ぼさないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験は脳波測定用のシールドルーム内で実施している。2021年度に続き2022年度も,COVID-19の国内感染ピークがあり、学内でも夏季休暇と年末年始に過去最大の新規感染者数を記録した。そのため、3つの実験予定が2つしか出来なかった。ただし,この実験2及び実験3ともに学会発表を行うことができ、前年度学会発表した実験1については論文として掲載された。また、予定していた国際学会での発表はCOVID-19の影響で海外渡航が出来なかったために中止した。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響で2022年度まで計画していた4つの実験のうち3つの実験のみ実施して実験4は実施できなかった。2023年度はこの実験4に加えて、当初計画していた実験5の2つを実施する。2つの実験の概要は下記の通りである。【実験4】は「顔画像刺激呈示のCITに対するP300振幅へのサイコパシー傾向及びDTの影響」について,模擬テロシナリオ課題でテロ実行犯の顔を記憶した後,記憶した顔画像を裁決項目,それ以外の顔画像を非裁決項目として画像呈示して、事象関連電位(N2,P300, LPP)に与える影響を検証する。【実験5】は「妨害工作によるP300を指標としたCITへのサイコパシー傾向及びDTの影響」について,実験参加者に模擬窃盗課題を実行させた後、身体的カウンタメジャー(刺激呈示に対して,かかとを押しつける)と心理的カウンタメジャー(刺激呈示に対して,頬を平手打ちにする場面を想像する)を使用させて、サイコパシー傾向及びDTが,事象関連電位を指標としたCITの裁決項目反応量(裁決項目-非裁決項目)に与える影響を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に続き2022年度も,COVID-19の国内感染ピークがあり、学内でも夏季休暇と年末年始に過去最大の新規感染者数を記録した。そのために予定していた実験3つのうち1つが未実行となったためである。2023年度の当初の実験予定は1つであったので、昨年度未実行の1つを含めて2つの実験を行うことで物品費・謝金を増額して支出する。
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