研究課題/領域番号 |
21K03121
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
白石 優子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (60815710)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 父親支援 / ペアレンティングトレーニング / 遠隔心理療法 / 子どもの問題行動 / ウェイティングリストコントロールデザイン / 機能的MRI / 子育ての神経基盤 |
研究実績の概要 |
本研究では幼児期の子育てに何らかの困り感を持つ一般の父親を対象とし、子どもとのかかわりトレーニングをオンラインで提供する。トレーニングは、体罰や威圧的な態度を使わずに、双方に葛藤の少ないコミュニケーションのスキルを練習する親子相互交流療法(PCIT)の一部を10回のトレーニングに構成したものである。 抑うつやストレス、体罰容認に関する質問紙調査および父子の遊び場面の行動分析、認知機能検査を用いてウェイティングリストコントロールデザインによる効果検証を行う。さらに、子ども関連刺激提示を行う機能的MRI実験を行い、父親による幼児期の子育てに関連する神経基盤の探索を試みる。 今年度は、研究倫理委員会に申請を行い、手続きの結果、承認を得た。機能的MRI実験で用いる刺激画像や提示方法等の実験デザインを検討し、模擬実験を行った。HPやSNS等で1クール目の参加親子を募集した。参加親子の群分けをランダムに行い、実験およびトレーニングを開始した。受講前、受講後、修了後3ヶ月後(または受講開始3ヶ月前)の3時点で実験を行うが、参加者は本年度中にスケジュールされたすべての実験に参加した。トレーニングを受講した参加者は、やむを得ない事情を除き、キャンセルや遅刻はなく、3ヶ月以内に10回のトレーニングを完了した。家庭で行う5分間の宿題の完了率は80%以上であった。子どもの問題行動スコア(ECBI)の減少、父親のかかわりスキルの獲得が確認された。父親とのトレーニングの時間を楽しみにしている子どもの様子も見られ、全体的に順調に実施されたと言える。 ただし、新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響から、1クール目の参加者は当初の予定より少ない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症パンデミックの最中で、来所での研究参加を躊躇する声もあった。そのため、応募者が少なく、当初の予定より少ない参加者で1クール目を開始した。保育園閉鎖時の家庭保育等イレギュラーな状況が発生した場合は、実験やトレーニングが過剰な負担にならないよう配慮した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度夏頃に、機能的MRI実験のみ1クール目の被験者内解析を行い、機能的MRI実験に関する刺激画像や提示方法等のプロトコルを再検討する。その後、必要であれば変更を行う。実験プロトコルの確定後、2~4クールの参加者を募集し、実験とトレーニングを継続する。機能的MRI実験のみ被験者内解析をし、個人の脳領域ごとの体積の変化、子ども関連刺激提示時の活動領域の変化を検討する。4クール終了後に、質問紙調査、行動分析、認知機能検査、機能的MRI実験の結果を統計的に解析し、学会発表、論文執筆を行う。 本トレーニングの有効性が確認されれば、本研究以外でも使用できるよう実施マニュアルの作成や普及を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響を受け、当初の予定より少ない参加者数で実験を開始したため、実験にかかる費用(認知機能検査、MRI撮像費用等)の支出が少なく、余剰が出た。次年度に実験費用として使用する。
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