研究課題/領域番号 |
21K03129
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森川 和則 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (70312436)
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研究分担者 |
富田 瑛智 関西国際大学, 心理学部, 講師 (90724295)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 顔 / 魅力 / 順応 / 目の大きさ / マスメディア |
研究実績の概要 |
漫画材料を読ませることで人物に目の大きさに順応させる実験を行なう計画であったが、漫画材料の作成段階で依頼した漫画家と研究者(筆者)との間で作風・制作方針に関する齟齬が生じ、どうしても合意に達することができなかったため、依頼を解消することになった。そのため、一からやり直さねばならなくなり、現在は漫画材料の構想を再検討中であり、新たに漫画家を探しているところである。研究計画は大幅に遅れてしまったので、やむなく研究期間の1年間の延長を申請した。科学的厳密性を追求する研究者と独自の作風を持つアーティストとのコラボレーションの難しさを今更ながら痛感している。 他方で、顔の魅力度と錯視に及ぼす観察距離の効果に関する実験は遂行し、化粧の種類(アイシャドウ、マスカラ、アイライン)ごとに効果が見る距離によって異なるという複雑な交互作用を発見した。具体的には、アイシャドウは遠距離から見る際に大きな効力を発揮するが、アイラインは逆に近距離での効果が大きい。マスカラは遠距離でも近距離でもほぼ同等に効果を発揮する。この研究成果は今年度の日本顔学会大会で発表する予定である。 さらに、衛生マスクの着用が顔の知覚に及ぼす錯視効果(目の大きさ錯視、小顔錯視、顔肌の明るさ錯視など)を様々な実験で検証した研究は既に英語論文として書き上げ、国際ジャーナルに投稿中である。また、化粧に夜目の傾き錯視に関する別の研究成果を2023年8月のヨーロッパ視知覚学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
漫画材料を読ませることで人物に目の大きさに順応させる実験を行なう計画であったが、漫画材料の作成段階で依頼した漫画家と研究者(筆者)との間で作風・制作方針に関する齟齬が生じ、どうしても合意に達することができなかったため、依頼を解消することになった。そのため、一からやり直さねばならなくなり、現在は漫画材料の構想を再検討中であり、新たに漫画家を探しているところである。研究計画は大幅に遅れてしまったので、やむなく1年間の延長を申請した。科学的厳密性を追求する研究者と独自の作風を持つアーティストとのコラボレーションの難しさを今更ながら痛感している。
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今後の研究の推進方策 |
1年間の研究期間延長を申請したので、実験で用いる漫画材料を新たに制作するところから再スタートし、インターネット実験までやり遂げる予定である。それに先立ち、実験で用いる漫画材料の脚本を練り直し、顔刺激と目の大きさのコントロールをより厳密に行えるよう考案する。漫画家に作画を依頼する際の打ち合わせをより慎重に行う。実験に適した漫画材料が完成すれば、あとは比較的スムーズに進行すると予想している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に遅れが生じたため、研究期間を1年間延長申請させていただいた。研究計画が遅れた最大の理由は実験に不可欠な漫画材料の制作に困難が生じているためである。漫画材料の制作は漫画家に依頼せざるを得ないが、漫画家の作風・方針と研究者(申請者)の意図のすり合わせが難しく、一旦はご破算となった。再度構想を練り直して別の漫画家に依頼する予定である。漫画材料の制作に50万円ほどを割り当て、インターネット実験にも50万円前後を支出する予定である。
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