研究課題/領域番号 |
21K03130
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
源 健宏 島根大学, 学術研究院人間科学系, 准教授 (40611306)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ワーキングメモリ / 脳波 / 前頭葉 |
研究実績の概要 |
知性の基盤ともいえるワーキングメモリには,大きな個人差が認められており,特に前頭葉の活動との関連が指摘されている。しかしながら,脳波研究の分野においては,前頭葉の活動と関係する脳波からワーキングメモリ機能の個人差を特定できる安定した手法は確立されていない。その主たる原因は,複雑な前頭葉機能と結びつくワーキングメモリの計測精度が不十分であることと,前頭葉由来の複数の脳波成分を総合的に捉える試みが十分に成されていないことが大きいと考えられる。本研究課題では,近年注目を浴び始めている包括的な計測法を用いて個々人のワーキングメモリ機能を従来よりも高い精度で推定する。さらには,前頭葉機能と関係する複数の脳波成分を判別モデルに組み込みこむことで,個々人のワーキングメモリ機能を読み解くことを目指す。
上記の目標を達成するために,本研究では,次の二つの課題に中心的に取り組んでいる。 ①包括的計測手法を用いることで,個々人のワーキングメモリ機能を高精度で推定する。 ②前頭葉を発生源とする複数の脳波成分を,ニューロデコーディング法を駆使して解析することで,個々人のワーキングメモリ機能を読み解く。 令和3年度は,課題①の達成に近づくために,8種類のワーキングメモリ機能に関わる認知心理学課題を作成し,データの収集を進めた。そして,得られた結果を元に難易度の調整を進めた。課題②の到達についても同時並行的に研究を進めており,ストループ課題遂行中の脳波を記録し,前頭葉由来の脳波からワーキングメモリ機能の個人差の指標となり得る成分の選定に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書の令和3年度の研究計画に記述したように,8つのワーキングメモリ機能関連課題(数字アップデート課題,場所アップデート課題,文字-場所結合課題,文字-色結合課題,計算スパン課題,矢印スパン課題,ストループ課題,フランカー課題)を作成し,データの収集が進んでいる。また,誤反応(エラー)関連の脳波成分の計測も順調に進んでおり,前頭葉領域からの発生が確認できている。今後,新型コロナウィルス感染が拡大すればデータ取得の計画に遅れが生じる可能性もあるが,現段階のところは,計画通りに研究が進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年においても引き続き8つの認知課題を用いてワーキングメモリ機能を包括的に計測し,高い精度で個々人のワーキングメモリ機能を定量化する指標の探索を続ける。また,脳波の計測と分析にも精力的に取り組み,サポートベクターマシン等の機械学習の手法を用いて,誤反応(エラー)関連の脳波成分や前頭正中線から現れるシータ周期のオシレーション強度などから,ワーキングメモリ機能の推定を図る計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画で予定に含めていた国内および国際学会への参加を,新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け,差し控えることになったため。 繰越額については,次年度のデータ収集に割り当て,実験補助謝金や実験協力謝金として支出する計画である。
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