研究課題/領域番号 |
21K03144
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
菅野 康太 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (80722470)
|
研究分担者 |
奥野 浩行 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80272417)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 音声コミュニケーション / 超音波発声 / マウス / 性行動 / 求愛 / 社会行動 |
研究実績の概要 |
本実験では、ファイバーフォトメトリーによる神経活動観察と光遺伝学による神経活動の操作を、USVsの観察と同期記録しながら行う。本研究ではドーパミン (DA)神経系に着目しており、その神経活動の観察と神経活動操作をするための分子ツールを発現させる必要がある。DA神経系特異的に各種ツールの遺伝子を発現させるために、DA合成に必要な酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)遺伝子のプロモーター下流でDNA組換え酵素であるCreを発現するアデノ随伴ウィルス (AAV)ベクター(TH::Cre)を用いる。さらに、分子ツールの遺伝子配列が逆向きに挿入されているAAVで、Cre存在下では組換えによりその向きが正常になり、遺伝子発現がなされるDIO(doublefloxed inverted open-reading-frame)のシステムを用い、Cre::THと特定の脳部位・回路で2重感染させることで、DA神経特異的に分子ツールを発現させる。分子ツールとしては、神経活動が上昇した際のカルシウムイオン濃度の上昇に応じて緑色蛍光の強度が増すCa2+センサーである GCaMP6を用いる。神経活動操作においては、560nm付近の光に応答し神経活動を抑制するArchTや、465nm付近の光に応答して神経を活性化(脱分極)させるチャネルロドプシン2(ChR2)を用いる。これらの手法を用いて、DA神経活動とUSVsの多さや複雑さとの因果を示し、さらに責任神経回路(投射経路)を機能的に同定する。これまでに、これらAAVの導入を済ませ、脳での発現確認を行った(AAV2retroによる特定の神経投射での逆光性感染も確認)。しかし、まだ仮説検証には至っていない。また、2個体間の発声の解析を進めるための実験系も別途開発し、論文として公開した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
AAVによる遺伝子発現の条件検討が完了した段階で、現在実験を進めているが、仮説検証に移行出来ていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
仮説検証のための本実験に移行中で、測定のためのデバイスの設定の最適化を行なっており、それを2023年度の早い段階で済ませたい。そして、仮説検証のための実験を計画的に重ねていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗が遅れている分、その分の予定していた支出を繰り越した。また、昨今、製造ラインの停滞により納期に時間がかかる場合が多いことも影響している(発注しても納品が半年後となるなど)。
|