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2021 年度 実施状況報告書

高齢者における否定文の理解力と関連要因の解明:質問紙を活用した眼球運動測定実験

研究課題

研究課題/領域番号 21K03149
研究機関明治学院大学

研究代表者

金城 光  明治学院大学, 心理学部, 教授 (00327298)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード文章理解 / 否定 / 二重否定 / 質問紙 / 高齢者 / 心理尺度
研究実績の概要

2021年度は主に次の2点について研究を進めた。
1)心理学領域の質問紙に使用される否定と二重否定についての実態調査
質問紙調査では否定や二重否定は避けることが望ましいとされているが, 実際には質問項目や回答選択肢に否定表現が含まれることは多い。質問項目と選択肢双方に否定が含まれると二重否定となる場合もある。一方で, 文章表現の自由度, 逆転項目による回答の一貫性の検証, 社会的望ましさによる回答の偏りの抑制等, 否定表現の効用も考えられる。これまで質問紙における否定表現や利用実態の研究はほとんどない。そこで, 心理学で広く利用される『心理測定尺度集I~Ⅵ』を対象に, 文尾に否定辞「ない」を用いた否定や二重否定が質問項目や回答選択肢にどの程度利用されているのかについて、文献調査を行った。結果, 前提条件を満たす330尺度のうち約6割の尺度に否定を含む質問項目があり, 1尺度あたりの否定を含む質問項目率は約10.5%(SD=12.9%)だった。中には5割以上の質問項目での否定の使用や, 二重否定が使用されている尺度もあった。否定を含む回答選択肢は全体の約75%だった。一般的に利用される心理尺度でも否定や二重否定の利用があることが明らかになった。この点については、学会発表と論文発表を行った。
2)オンライン実験課題の準備
コロナ禍のため、状況に応じてオンラインでも対応できる実験課題に切り替えることにし、準備を進めている。オンライン実験を進めるにあたり、文章理解の最も簡潔な課題としてClark & Chase(1972)の絵と文章の照合課題に関する真偽判断のオンライン予備実験を若者を対象に行った。分析結果、彼らのモデルで想定されているように認知プロセスが加算的に行われている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究について研究者の所属機関の倫理審査を受けたが、コロナ禍で高齢群と若者群の各々の参加者を集めての実験が難しかったため、オンラインでも対応できる実験に切り替えることにし現在準備中である。

今後の研究の推進方策

本研究は質問紙における否定文の理解に影響する要因を調べることを目的である。これをふまえ、2022年度は以下2点を実現したい。1)真偽が明確な論理判断の正確性と反応時間に年齢差があるのかについて、また、論理判断に至るまでの各認知プロセスにおける正確性と反応時間について、若者群と高齢群を比較する実験を行う。また、クラウドソーシングを用いて幅広い年齢層を対象とした実験も行う予定である。2)1)をふまえ、真偽が明確な論理判断課題遂行時の眼球運動を含めた複数の行動指標を測定し、若者と比較しながら高齢者の課題処理の特性を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で予定していた実験が進まなかったため。今年度は、実験室実験でもオンライン実験でも対応できるように準備し研究を進めていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 心理測定尺度の質問項目と回答選択肢における否定辞「ない」を伴う否定と二重否定の利用について2022

    • 著者名/発表者名
      金城光・熊本颯雲
    • 雑誌名

      明治学院大学心理学紀要

      巻: 32 ページ: 1-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高齢者の否定文の判断 ~客観的事実判断と主観的内容判断の観点から~2021

    • 著者名/発表者名
      金城光
    • 学会等名
      日本認知心理学会高齢者心理学部会 第18回研究会
  • [学会発表] 心理学領域の質問紙に使用される否定と二重否定についての調査 ――『心理測定尺度集I~Ⅵ』を用いて――2021

    • 著者名/発表者名
      金城光・熊本颯雲・中澤佳音
    • 学会等名
      日本心理学会第85回大会

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公開日: 2022-12-28  

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