研究課題/領域番号 |
21K03152
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
桂田 英典 北海道大学, 理学研究院, 研究院研究員 (80133792)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Harder予想 / Selmer群 / ガロア表現 / Klingen-Eisenstein級数 / Gross-Keating invariant |
研究実績の概要 |
(1)Hader予想をある場合に証明した.Harder予想は次数が2で重さが(k+j,k)のベクトル値 保型形式の合同に関する予想である.本研究ではkが偶数の時に再定式化し,特にjが4の倍数の時に証明した.その第1部は発刊予定.第2部もほぼ完成した.(跡部発,千田雅隆,伊吹山知義,山内卓也との共同研究.) また,それに関連して保形L関数の整数性についての論文を発刊した.jが4で割って余りが2の場合は現在検討中である.また,kが奇数のときにも予想を再定式化した.さらに,ある場合に,adjoint表現に付随するBloch-Kato予想の仮定の下でこれを証明した.これらを2023年1月京都で開催された研究集会で発表した.(2) Siegel保型形式にのあるガロア表現に付随するSelmer群のtorsion elementを構成した.(山内卓也との共同研究.)(3) Bergstrom-Farber-van-der-Geer予想の弱い形について考察しある場合に再定式化した.(4) Siegel級数の明示公式を用いてDuke-Imamoglu-Ikeda liftのフーリエ係数の良い評価を得た.これについて2022年6月に京都で開催された研究集会で発表した.論文も発刊予定である.また,2次形式のGross-Keating invariantの新しい特徴づけについて研究した.論文は投稿中である.さらにエルミーと形式においてもGross-Keating invariantを定義しその性質を研究した.(池田保との共同研究.) また,Gross-Keating invariantを具体的にもとめるためのアルゴリズムについて研究した.これは(2)で述べたHarder予想の具体例を与える際にも有用であった.(S. Cho, 池田保,C. H. Lee, 山内卓也との共同研究.)また,ここで得られた手法を応用してあるp進Siegel保型形式が真のSiegel保型形式になることを示した.(長岡昇勇との共同研究.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) Harder予想がkが偶数,jが4の倍数のときに完全に解決した.jが4で割って2余る場合も検討中である.これについて完全に解決できる見通しはまだたっていない.しかし,これに関してガロア表現に関する様々な知見を得たことは今後の研究に大いに役立つと思われる.kが奇数のときも再定式化できた.ただし,Selmer群に関するBloch-Kato予想を証明できるかどうかはわからない.ただし,Harder予想がこのような形で他の予想と関係することは興味深く,この予想の下で論文を発刊するのは意味のあることと思われる.また,特別な場合には具体的に予想を計算により確かめる方法も確立した.(2)Siegel保型形式のあるガロア表現に付随するSelmer群のtorsion elementを構成については完成しているが概要(1)で述べたHarder予想に関する2つ目の論文の発刊を待って投稿する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
(1) Harder予想に関してガロア表現に関してもう少し深い結果を知る必要がある.そのため専門家の知見を得ることが必要となってくる.このため,山内卓也,千田雅隆と議論を行うため,研究代表者が東北大学,東京電機大学に出向くか,北大,室蘭工業大学にこの両者を招聘する.また,特別な場合に予想を計算により確かめることも行う. (2) Siegel保型形式のあるガロア表現に付随するSelmer群のtorsion elementを構成について山内卓也と最終確認を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費16H03919の再々繰越額を優先して使用したために当初の予定通り使用しきれなかった.今年度は研究代表者の出張のみならず,他からの研究者招聘等に使用する.
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