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2022 年度 実施状況報告書

正標数の del Pezzo 曲面上の累次フロベニウス直像の代数幾何

研究課題

研究課題/領域番号 21K03157
研究機関東京農工大学

研究代表者

原 伸生  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90298167)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード正標数 / Frobenius直像 / del Pezzo曲面 / 反標準束(反標準環) / 代数幾何 / 有限F-表現型(FFRT)
研究実績の概要

正標数pの代数閉体k上の非特異5次del Pezzo曲面Xの反標準束をLとするとき,非負整数n,eに対してn重反標準束L^nのe次Frobenius直像(F^e)_*(L^n)は階数q^2のベクトル束である.ただし,q=p^e とおいた.このFrobenius 直像を直既約ベクトル束の直和に分解する際に現れる直和因子の同型類が,Lによる整数回のtwistを法として高々有限個であることが最近Malloryによって証明されたが(Xの反標準環のFFRT性),その証明から具体的にどのような同型類が現れるかについての情報は得られない.
本研究の目的の一つは,上記Frobenius直像の直既約直和因子(以下においてFrobenius summandとよぶ)を分類することであり,過去数年間において,標数が p=2,3 の場合(nは任意)と,奇標数pで n=0, (p^e-1)/2の場合については分類が完成したが,奇標数で一般のnの場合については未だ未解決である.この一般の場合を考察するために,ベクトル束EがFrobenius直像の直和因子として現れる重複度がベクトル空間の"pairing"
Hom(E,(F^e)_*(L^n))×Hom((F^e)_*(L^n),E)→Hom(E,E)=k
の階数と一致することを用いて,これを計算することによりFrobenius summandを決定する方法について考察した.この方法をn=0の場合(O_X,B,L_i(i=0,1,2,3,4),G の8種類のベクトル束がFrobenius summandとして既知)に適用したところ,B,L_i,G の重複度をそれぞれb,l,gとして,関係式
g+l=(q-1)(q-2)/2, b+l=q-1
が得られ,これからn=0の場合の結果の別証明が得られることを観察した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の研究計画では,本年度までに5次del Pezzo曲面のFrobenius summandを分類できるものと予定していたが,一般の場合については,n=0 の場合(構造層のFrobenius直像(F^e)_*O_X)の手法を適用することが困難であったため,この分類が完成に至っていない.

今後の研究の推進方策

研究実績の概要に書いた "pairing" の階数を計算することにより,Frobenius summandの重複度を決定する別証明を一般の場合に適用することにより,分類の完成を試みる.はじめに与えたn=0の場合の証明では,Frobenius直像のもつある種の「分裂条件」のみからFrobenius summandの候補を有限個に絞り,これら以外のベクトル束がFrobenius summandになり得ない(条件*)ことから重複度の関係式 g+l=(q-1)(q-2)/2, b+l=q-1 を導いたが,この別証明は(条件*)を仮定することなく直接計算により同じ関係式が得られるため,この方法により一般の場合の分類ができる可能性があると考えられる.

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により出張旅費の使用がなかったことが,次年度使用額が発生した主な理由である.今年度は,9月の熊本出張など国内出張を数件行う予定であり,その旅費として本研究費を使用する予定である.

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公開日: 2023-12-25  

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