研究実績の概要 |
2022年度には,まず,2次曲面上の第1チャーン類が(2,2)のネフなベクトル束の分類結果をまとめた論文を投稿した.2次曲面上の第1チャーン類が(2,2)のネフなベクトル束の作る射影空間束は弱Fano多様体である.また,2次曲面上の第1チャーン類が(2,2)のネフなベクトル束の中には大域生成ではないものが存在する.一方,3次元以上の2次超曲面上の第1チャーン類が2のネフなベクトル束の作る射影空間束は,Fano多様体である.そのため,3次元以上の2次超曲面上の第1チャーン類が2のネフなベクトル束は大域生成になると考えているが,もし仮にそうでないものがあったとしたら,他の予想などとの関係から,面白い例を見つけたことになると考えている.そのような背景もあって,まずは,3次元の2次超曲面上の第1チャーン類が2のネフなベクトル束の分類問題に取り組んだ.2次元の場合と比べると階数が2のスピノル束が現れて,種々の場面で計算が面倒になり,スペクトル列の解析などで現れる他の各種ベクトル束とスピノル束の関係の解析などの扱いに工夫が必要になる.また,そもそもよくわからず,試行錯誤が必要になることも多い.その中で,一つのボトルネックになると思われた部分については,やや時間がかかってしまったが,幾多の試行錯誤の末,無事乗り越えたと思われる.また,研究分担者の寺川は,代数的トポロジーに関連した事項の知見を深め,大野もそれについて学んだ.
|