研究課題/領域番号 |
21K03162
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
星 裕一郎 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (50456761)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遠アーベル幾何学 / 可解閉ガロア拡大 / 単アーベル的構成アルゴリズム / 双曲的代数曲線 / ガロアセクション / 準モノドロミー充満 / 安定束 / ヤコビ和 |
研究実績の概要 |
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書の「補助事業期間中の研究実施計画」で述べた令和3年度の中心的研究テーマ「数体に関連する数論的な体の遠アーベル的内在性の研究」,「数体や混標数局所体の絶対ガロア群に関連する単遠アーベル的構成アルゴリズムの研究」の研究として,数体の可解閉ガロア拡大に対する単遠アーベル幾何学,双遠アーベル幾何学の研究を行った.具体的には,数体の可解閉ガロア拡大に付随するガロア群に対する単アーベル的構成アルゴリズムを確立して(論文投稿中),そして,その上,数体の可解閉ガロア拡大に付随するガロア群の間の開準同型射に対して,その開準同型射がガロア拡大の間のある射と両立的であることとその開準同型射がその始域・終域の円分指標と両立的であることの同値性を証明した(論文投稿中).これらの成果は,数体が有する遠アーベル的内在性を表現したものであると考えられる. また,その他に,双曲的代数曲線に関するいくつかの数論幾何学の成果を得た.具体的には,辻村昇太氏との共同研究による,射影直線の双曲的開部分曲線の非幾何学的副pガロアセクションの具体的構成やそのマッセイ積の消滅への応用の研究(論文投稿中),飯島優氏との共同研究による,高次元副l遠アーベル幾何学の応用としての,付随するいくつかの数値的不変量が小さい準モノドロミー充満な双曲的代数曲線の幾何学的同型類のガロア理論的特徴付けに関する研究(論文投稿中),若林泰央氏との共同研究による,Quotスキームの理論の応用としての,射影的双曲的代数曲線の上の階数2の安定束のモジュライ空間の間のフロベニウス引き戻しが誘導する射の生成的次数の上限に関する研究(論文投稿中)を行った.そして,有限体上の遠アーベル幾何学に応用するために,固定された素数冪次数のヤコビ和たちを有理数体に添加して得られる体に関する研究を行った(論文掲載決定).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書の「補助事業期間中の研究実施計画」で述べた令和3年度の中心的研究テーマに関する充分な成果が得られ,そして,その上,双曲的代数曲線に関する様々な興味深い研究成果が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書の「補助事業期間中の研究実施計画」で述べた令和4年度の中心的な研究テーマ「双曲的代数曲線に関連する特殊な代数多様体の遠アーベル予想の解決」,「双曲的代数曲線に付随するp進タイヒミュラー理論的対象を用いた構成アルゴリズムの研究」の研究を行おうと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)この度の新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための様々な「活動の制限」によって,研究遂行のために必要であると計画されていた旅費が,当初計画よりも大幅に小さくなってしまったため,次年度使用額が生じた. (使用計画)次年度使用額は,現時点では,外国人研究者の招聘のための費用や,あるいは,研究発表のための旅費に充当される予定である.しかしながら,この度の新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための様々な「活動の制限」によって,この充当が実際に実行可能であるかどうかは,現時点では不明確である.
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