研究課題/領域番号 |
21K03172
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田邊 顕一朗 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (10334038)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 頂点代数 / 格子 |
研究実績の概要 |
非退化偶格子に付随する頂点代数の部分代数上の弱加群についての研究を継続して行った. 格子が正定値である場合には,格子頂点代数はC2余有限な頂点作用素代数となり,多くの興味深い頂点作用素代数を部分代数として含んでいるため,多くの先行研究がある.格子が正定値でない場合は,その部分代数の表現は弱加群を扱う必要が出てくるため,非常に難しくなる.非退化偶格子が与えられたとき,全ての元を-1倍する格子の自己同型から持ち上げられた,格子頂点代数の位数2の自己同型をtとおく.格子頂点代数の自己同型tに関する不変部分代数の,弱加群に関するフュージョン則を決定した.これまで筆者により,既約弱加群の分類,および弱加群の完全可約性が示されていることから,これでこの不変部分代数の表現はほぼ理解できたことになる.格子が正定値の場合はフュージョン則を決定した先行研究があるが,正定値でない場合は,フュージョン則は正定値の場合と異なることが示された.この結果の応用として,次のことを示すことが出来た:格子の任意の位数2の自己同型をとり,それを格子頂点代数に持ち上げた自己同型をsとおく.自己同型sに関する格子頂点代数の不変部分代数の既約弱加群の分類が出来た.また同じ不変部分代数について,弱加群の完全可約性を示すことが出来た.次にフュージョン則を決定する必要があるが,非常に複雑になることが予想されるため,まだ計算が終わっていない状態である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
格子頂点代数の不変部分代数に対して,弱加群のフュージョン則が決定できたため.
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今後の研究の推進方策 |
格子頂点代数の一般の自己同型に関する不変部分代数のフュージョン則を決定する.また弱加群のテンソル積を構成する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナにより,多くの学会がオンラインとなり,旅費を使用せずにすんだため.
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