研究実績の概要 |
本研究課題では、アフィン超リー代数のある特別なタイプの一般化されたヴァーマ加群である狭ヴァーマ加群の構造を主な対象としている。令和4年度までに sl(n,1)型アフィン超リー代数の可積分最高ウェイトの場合に、その構造を調べ、その結果としてBGGレゾリューションを構成した。本年度は、sl(n,1)型の次に構造の簡明なsl(2,2)型のアフィン超リー代数の構造を調べることを予定していた。 sl(2,2)型のアフィン超リー代数の場合、狭ヴァーマ加群の構造を記述する奇鏡映が、sl(n,1)型の場合と比較して複雑である。この問題を解決するため、最初にsl(2,2)型の有限次元単純超リー代数の場合の狭ヴァーマ加群の構造を調べることとした。その結果、これまでに知られていなかった新たな狭ヴァーマ加群の同型を得ることができ、それを用いて,sl(2,2)型の有限次元単純超リー代数の場合にはBGGレゾリューションを構成した。この研究には, sl(2,2)型の超リー代数の交換関係を用いた計算が必要となるため、その計算処理を自動化するためのプログラム作成も行なった。 sl(2,2)型の有限次元単純超リー代数の場合を調べた結果、sl(n,1)型の場合と異なり、狭ヴァーマ加群の部分加群として、必ずしも狭ヴァーマ加群でないものが現れるという困難が明らかになった。本年度はこの困難の完全な解消には至っておらず、令和5年度はこの点について引き続き研究を行う。 なお本研究は、福井大学の松本拓也氏との共同研究として実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の申請の段階では, sl(2,2)型のアフィン超リー代数の狭ヴァーマ加群の研究を令和4年度までに終了する計画であった。しかしながら、参考とするために計算を実行したsl(2,2)型の有限次元単純超リー代数の狭ヴァーマ加群の構造に関して、研究実績の概要欄で説明した困難が生じた。この困難は、申請の段階では予想していなかったため、研究計画には遅れが生じている。令和5年度もsl(2,2)型の有限次元単純超リー代数の場合の研究を継続する。
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