研究実績の概要 |
主に, A型のシフト量子アフィン代数の構造論, 及び表現論に関して研究した。 元々研究していた (q,Q)-カレント代数の表現論との関係を明確にすることによって, 本研究課題の最初の目標である, シフト量子アフィン代数と有木-小池代数 (G(r,1,n) 型の巡回ヘッケ代数) の間の Schur-Weyl 双対を構成することによって, 有木-小池代数の加群圏の最高ウェイト被覆を実現することができた。この Schur-Weyl 双対は, すでに知られている, 量子アフィン代数とアフィンヘッケ代数との間の量子アフィン Schur-Weyl 双対に適当なシフトを施し, ある商を取ることによって構成される。現段階では, この商の取り方は, 有木-小池代数の準遺伝被覆であることが知られている巡回 q-Schur 代数の性質を用いて記述していて, シフト量子アフィン代数の表現論における特徴付けは分かっていない。しかし, 特別な場合として, 対応する加群圏が半単純な場合, 及び, パラメータ qを 1 に特殊化した場合 (この場合, ループリー代数をシフトしたものが現れる)には, 上記の商の取り方のある特徴付けを与えることができた。この特徴付けは, 一般の場合にそのまま拡張することはできないものであるが, このことより, 量子アフィン代数の表現をシフトし, "良い" 商を取ることは, 上記の Schur-Weyl 双対に限らず, 一般の加群に対しても重要な操作であると考えられ, それらを一般の形で特徴付け, その性質を明確にすることは, 今後の課題である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で, 予定していた研究集会への参加, 及び研究打ち合わせが実施できなかったため。 自由に出張できるようになれば, 研究集会への参加や, 研究打ち合わせのための旅費として使用する予定である。 今年度も出張することが難しいようであれば, 代替となるオンラインでの活動に必要な機材等を購入する必要があるかもしれない。
|