研究課題/領域番号 |
21K03187
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
新井 啓介 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (80422393)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 大域体 / モジュライ / 有理点 |
研究実績の概要 |
モジュライの有理点問題は、多項式を用いて表される方程式の解を求めるという観点からも、幾何的構造を分類するという観点からも、数論幾何における最重要課題のうちの1つである。本研究では、楕円曲線やアーベル多様体のモジュライ、およびその関数体類似の大域体上の有理点を理解することを目的とする。さらに、有理点に関する知見をもとに、Hasse原理などの数論的諸問題を開拓していく。同時に、高次元多様体の大域体上の有理点という難解な対象を理解する手掛かりを得る。また、代数体側と関数体側を比較し、両者の体の本質的な類似や相違について理解することを目指す。 四元数環による乗法をもつ2次元アーベル多様体はQMアーベル曲面と呼ばれ、そのモジュライは志村曲線と呼ばれている。Jordanは、代数体上のQMアーベル曲面から定まるガロア表現を調べ、その中に生じるcanonical isogeny characterの分類をした。そして、志村曲線の有理点の非存在に関する成果へとつなげている。さらに、その成果を応用してHasse原理の反例の具体的な構成を行っている。 本研究では今年度、上記のJordanの理論の関数体版の構築を行った。特に、QMアーベル曲面の関数体版であるDrinfeld-Stuhler moduleの還元型や、ガロア表現の中に生じるcanonical isogeny characterの計算を行った。今後はこの成果を生かし、レベルが十分高い場合のモジュライの有理点を調べたい。さらに、その成果の数論的な応用を目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代数体上のQMアーベル曲面の理論の関数体版の構築ができ、今後のさらなる研究の発展が期待できるため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目標は、代数体、関数体の研究を同時に推し進めることである。今年度に得られた関数体側の成果を生かし、代数体側の幾何的対象や有理点の存在・非存在に関する新たな進展、および関数体側のモジュライに関する研究のさらなる発展を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費、人件費・謝金、その他の支出が少なかったため。 パソコン関連物品の購入、書籍の購入、文具類の購入、旅費、人件費等に使用する予定。
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