研究課題/領域番号 |
21K03195
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮本 雅彦 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (30125356)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コンウエイ群 / 表現論 / 頂点作用素代数 / 軌道理論 / 自己同型群 / W-元 / リーチ格子 / 深洞 |
研究実績の概要 |
有限散在型単純群の一つであるコンウエイ群 Co.0 を利用して、中心電荷24の正則頂点作用素代数の分類、および正則頂点作用素代数の相互間の関係を調べた。 個々の正則頂点作用素代数から直接的にリーチ格子頂点作用素代数への軌道構成が存在することは、数論的な計算によって証明されているが、構造に関する情報は非常にすくなかった。そこで、まず第一として、非アベール型のウエイト1空間を持つ正則頂点作用素代数のリー代数構造を持つウエイト1の空間から得られるW-元と呼ばれる特別な元を利用して、その軌道理論構成では常にリーチ格子頂点作用素代数が構成できることをローレンティアン頂点作用素代数を利用して分かり易く証明した。この証明には、ランク24のリーチ格子の自己同型群であるコンウエイ群において、その部分群の表現が重要な働きをしている。群の一般的な表現論が群の各元の指標値によって与えられている点と比べて、本研究では、それらの情報以外にも2元生成の部分群の別の元の表現論も加えるという点で、以前の科学研究費研究で得られた成果である群の表現論の拡張に近い論法を利用している。また、格子を2次元拡張して、ローレンティアン格子を利用することにより、コンウエイ群以外にも、2次元部分の情報を加味するという方法を利用している。ローレンティアン格子で考えることにより、多くの部分が自然な形になっている点はこれらの論法を考える理由の一つである。 第二に、そのW元の倍数による軌道理論を考えることにより、リーチ格子頂点作用素代数へ行く色々な道順の途中結果として多くの正則頂点作用素代数間の関係が見ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オンラインによるセミナー等によって、多くの部分は予定通り進めることができたが、コロナ等により予定していた初年度の研究集会が開催できず、予定していた海外研究者の招聘もできず、進捗状況は少し遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
コンウエイ群を自己同型群とするリーチ格子を使って構成されるリーチ格子頂点作用素代数を利用して、いくつかの古典的問題の解決を目指す。例えば、リーチ格子頂点作用素代数のボーチャーズ代数と自己同型との組を考えることにより、ムーンシャイン型と呼ばれる頂点作用素代数の有限自己同型を見つけ出す。これが成功すれば、頂点作用素代数研究の古くからの問題であるムーンシャイン予想の解決に役立つ。その為に、コロナが落ち着いてきたので、海外の研究者との交流を再開し、議論を深める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ等により研究集会が開催されなかったので、予定していた出張および招聘が次年度以降となったため。また、それに伴う経費や謝金の使用も次年度以降に繰り越した。
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