研究課題/領域番号 |
21K03210
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
源 泰幸 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50527885)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 箙Heisenberg代数 / 根基冪近似 |
研究実績の概要 |
パラメーターが正則(反射超平面と直行しないこと)のときに箙Heisenberg代数の次数n次部分は左n乗根基関手による近似を与えることを先年度示していた。網目関係式のn乗が左n乗根基近似を与えると予想して研究を進めた。予想にたいしては反例があることを見つけた。一方、予想の命題成立の判定法を確立し、それを用いて標数0の場合に一般的なパラメーターの場合には予想が成り立つことを示した。また、正標数のときも然るべき場合にA型箙にたいして予想が成り立つことを示した。 Dynkin箙の箙Heisenberg代数が有限次元になるパラメーターの条件が正則であることを示し、さらにパラメーターが正則の場合は対称的代数であることを示した。後者の結果は標数0の場合に一般的パラメーターに対し成り立つことがEtingof-Lature-Rainsにより示されていた。この結果は標数の仮定なしにlocusを確定することに成功した。 箙の頂点に対する前射影的代数の傾イデアルの構成の族化により傾複体を構成しその自己準同型環がパラメーターを反射したQHAになることを示し、Dynkin箙の場合に傾複体グラフを決定した。これは相原-水野、水野による前射影的代数に関する結果の類似である。QHAは対称的であるが、PPAは一般にそうでないので、傾理論に関して箙Heisenberg代数の方が前射影的代数よりも良く振る舞うのである。 箙Heisenberg代数から定まる代数B(Q)と道代数KQの導来圏の間に然るべき関手を構成しB(Q)の2-APR傾関手とKQの1-APR傾関手が整合的であることを示した。道代数KQの直既約加群の次元ベクトルは正ルートを与えるというのがGabriel-Kacの定理であるが、箙Heisenberg代数の直既約クラスター加群は上述の関手により全てのルートに送られることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
箙Heisenberg代数の基礎的な性質を明らかにすることが出来ているので、研究はおおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は箙Heisenberg代数から定まる代数B(Q)の研究を進めたい。また、QHAの構成を一般化し圏論的幾何学とのつながりを調べたい。箙Heisenberg代数と前射影的代数の傾理論、あるいは代数B(Q)と道代数KQの傾理論の関係を調べたい。また、Lie理論的な意味があるのかも知りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度中に研究打ち合わせが可能になると予測していたが、それが外れたため。
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