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2022 年度 実施状況報告書

コーエン・マコーレー加群の関手圏の位相構造の解析と表現型理論への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K03213
研究機関呉工業高等専門学校

研究代表者

平松 直哉  呉工業高等専門学校, 自然科学系分野, 准教授 (20612039)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード極大Cohen-Macaulay加群 / 関手圏 / 加算表現型
研究実績の概要

2022年度はGorenstein局所環上の直既約な有限生成極大Cohen-Macaulay(MCM)加群の同型類のなす集合(のべき集合)に対して関手圏に由来する位相を導入し、その構造について調べた。これはKrause[1997]の類似の考察である。有限生成関手を零にするMCM加群で閉集合を定めることによって位相を定める。この視点の考察はZiegler[1984]に端を発し様々な研究がある。これまでの研究は無限生成加群の枠組みでなされている。今回の考察では有限性加群の枠組みで行なっており、その点が他と異なる。この位相空間はT_0空間になる。また表現論の観点からの結果として、直既約なMCM加群が孤立点になることとそのMCM加群がAuslander-Reiten列を持つことが同値であることがわかった。また準コンパクトになることと基礎環が有限表現型になることが同値であることなどもわかった。さらには基礎環が加算表現型を持つ超曲面環の場合に先の位相によるCantor-Bendixson(CB)階数について計算を行った。有限表現型を持つ場合のCB階数は0になること、加算A、D表現型を持つ超曲面環の場合にはCB階数が1であることがわかった。これは昨年度実施したKrull-Gabriel次元の考察と関連があり、今後の深化を期待するものであると考えている。
なお2022年度の前半では加群の退化理論について、推移性を満たさない例の考察を行っている。残念ながらこれまでの手法では退化の判定ができないことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度の結果はかねてからの研究計画にあった手法に基づいて得られたものである。極大MCM加群の集合に対して関手圏に由来する位相構造の導入に成功し、基本的な場合のCantor-Bendixson(CB)階数の計算を与えたことは評価できる。しかしながら関手圏の零点定理(閉集合とセール部分圏の対応)やCB階数やKrull-Gabriel次元の値の本質的な意味(表現型理論)、階層の分析などの考察が未達成である。また加算表現型以外の場合についても計算例を与えられていない。以上の理由からやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に軌道を修正することができたので、計画に沿って進めていく。進捗状況でも述べたように関手圏の零点定理の考察など、基本的な性質の分析を行う。本課題では先行研究(無限生成を含む)とは異なり有限生成なMCM加群に制限して考察しているので、零点定理については否定的な視点から取り組む予定である。また並行して我々の位相構造と表現型理論との関係、例えばAuslander-Reiten quiverの連結成分と開集合の関係など、表現型理論への応用を検討を進める。有限生成なMCM加群の位相構造、また対となる関手圏の圏論的な構造を行き来しながら、MCM加群の表現論的な性質を調べていく。

次年度使用額が生じた理由

2022年度も終息が見られなかった新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、計画していた研究打ち合わせ等のための出張が取り止めが生じたため使用額に差額が生じた。2023年度は国内外の移動制限がほぼ無くなるので、差額分についてはこれまで取り止めてきた研究成果発表のための会議出席や関連研究者との打ち合わせの旅費に利用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 備考 (2件)

  • [備考] 岡山可換代数表現セミナー(OSCAR)

    • URL

      https://sites.google.com/view/oscarmath2021/oscar-home

  • [備考] NaoyaHIRAMATSU

    • URL

      https://www.kure-nct.ac.jp/department/g/original/hiramatsu/index.html

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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