研究課題/領域番号 |
21K03220
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
田中 心 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70448950)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 低次元トポロジー / 曲面結び目 / カンドル代数 / 古典的結び目 |
研究実績の概要 |
2022(R04)年度は、共同研究者である谷口雄太(大阪大学)氏と、球面結び目の結び目カンドルに関して考察を深め新たな知見を得た。その副産物として古典的結び目の「結び目m-カンドル」の構造を明らかにすることができた。結び目m-カンドルとは、結び目カンドルを自然数mに応じて割って得られる不変量である。結び目カンドルは一般に無限位数だが、結び目m-カンドルは有限位数になることもあり扱いやすいはずではあるが、近年まであまり注目されてこなかった。具体的には、古典的結び目の結び目m-カンドルに対し、その(カンドル代数の意味での)普遍被覆が「m-ツイストスパン結び目の結び目カンドル」であることを示した。これにより、結び目m-カンドルの二次ホモロジー群の構造を解明することもできた。なお、得られた成果を2023年2月に行われた国際集会「18th East Asian Conference on Geometric Topology」において発表した。
しばらく取り組んでいる「ラックを"多重化"して得られるラック」について、共同研究者である石川勝巳(京都大学)氏と議論をした。結び目図式の"多重化"に対応するラックの構成方法が、Ishii-Matsuzaki-Muraoらによって定義されていたが、彼らの構成で得られるラックの性質は不明な状況であった。二面体カンドルを多重化して得られるラックは簡単な構造しか持たないが、他のクラスの連結カンドルであれば状況が異なることが分かった。2023(R05)年度も引き続き研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、研究成果が着実に出ていることを考慮し、「おおむね順調に進展している」と自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
球面結び目の結び目カンドルに関する研究はまだまだ発展する余地が残されているので、しばらくはその方向で研究をつづける。関連する研究集会やセミナーなどに参加し、自身の研究に生かす。また研究成果を発表し、関連分野の研究者からのフィードバックを得て、成果の改良や新たな方向性を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19によりキャンセルした出張があったために、旅費の支出が予定を下回ってしまったことが主な理由である。2023(R05)年度はより活動的に研究し、学会出張や研究者招聘など当該研究推進のために使用する。
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