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2021 年度 実施状況報告書

力学系の平均次元に対する二重変分原理の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K03227
研究機関九州大学

研究代表者

塚本 真輝  九州大学, 数理学研究院, 教授 (70527879)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード力学系 / エルゴード理論 / 幾何学的測度論 / 平均次元 / エントロピー
研究実績の概要

本研究計画の目的は平均次元と呼ばれる力学系の不変量と,レート歪み関数という情報圧縮の理論的限界値を表す量との関連を示す「二重変分原理」を発展させることである.その重要なステップの一つとして,幾何学的測度論と力学系理論の融合を推進するという問題がある.2021年度はこのステップにおいて重要な研究を行った.ある種の「無限次元フラクタル」の「平均ハウスドルフ次元」の研究を行っていたのだが,それの思わぬ副産物として,「重み付き位相的エントロピー」の理論に対して,新しいアプローチを発見することができた.重み付き位相的エントロピーは,FengとHuangという数学者たちが,自己アファイン集合というフラクタル図形の研究に触発されて導入した概念である.私は彼らの定義とは大きく異なる新しい定義を導入し,それに対する「変分原理」を証明した.この変分原理の帰結として,私の新しい定義がFeng--Huangたちの定義と同値であることが従う.彼らのオリジナルの定義と,私の新しい定義が一致することは高度に非自明な主張である.実際,これら二つの定義が一致することの帰結として,Bedford--McMullenカーペットと呼ばれるフラクタル図形のハウスドルフ次元に対する有名な公式の「位相的一般化」を成し遂げることができた.重み付きエントロピーに関する以上の成果は,すでに論文としてまとめて,学術誌に発表することに成功している.本来の動機であった「無限次元フラクタル」の方の研究も,主要な部分は完成したと考えており,近い将来論文としてまとめて発表する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二重変分原理を理解するうえで重要なステップである「平均ハウスドルフ次元」の研究が大きく進み.予想外の副産物まで得られたから.

今後の研究の推進方策

無限次元フラクタルの平均ハウスドルフ次元に関する論文をまずまとめる必要がある.その後,二重変分原理の理論を多重作用の場合に拡張し,目標であるブロディ曲線の力学系に適用する準備を完成させたい.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスのパンデミックのため,国内出張がゼロになったため,国内出張に使う予定であった経費を全く使用しなかったから.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] New approach to weighted topological entropy and pressure2022

    • 著者名/発表者名
      TSUKAMOTO MASAKI
    • 雑誌名

      Ergodic Theory and Dynamical Systems

      巻: - ページ: 1~31

    • DOI

      10.1017/etds.2021.173

    • 査読あり
  • [学会発表] 平均次元入門2022

    • 著者名/発表者名
      塚本 真輝
    • 学会等名
      第146回日本数学会九州支部例会 特別講演
    • 招待講演
  • [学会発表] いかにして力学系を電話で送信するか?2021

    • 著者名/発表者名
      塚本 真輝
    • 学会等名
      第19回岡シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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