研究実績の概要 |
(1) 向きづけられた4次元ニュートラル多様体に付随する空間的および時間的ツイスター空間は2重外積束の直和分解に現れる階数3のベクトル束に含まれる. これらの光的なベクトルからなる光的ツイスター空間の切断に対応するものとして概べき零構造を考えることができる. 概べき零構造が平行であることと対応する光的ツイスター空間の切断が水平であることは同値である. 4次元ニュートラル超Kaehler多様体は平行な概べき零構造を持つ. 概べき零構造Nが定める光的2次元分布Dが包合的であることと, 対応する切断の各点でのDに沿う共変微分がその切断と1次従属であることは同値である. Nが平行であるとき, Dの積分曲面は複素曲線やパラ複素曲線の類似物と考えられる. このことに注意して, 平均曲率ベクトルが零でありかつ等方的な空間的または時間的曲面の類似物であるような光的曲面の特徴づけが得られる. (2) E^3_1内の時間的極小曲面で曲率が非零のものの共形Gauss写像は, 平均曲率ベクトルが零でありかつ等方的であるがその時間的ツイスター・リフトの共変微分は光的または零でありかつどの点でも恒等的に零にならない. 向きづけられた4次元ニュートラル多様体Mの時間的ツイスター空間の切断Ωで共変微分が同様の性質を持つものに対し, 共変微分は零にならない1形式と光的ツイスター空間の局所切断のテンソル積で局所的に表され, さらにΩは光的な2次元分布Dを与えそしてM, Mの計量hおよびDの組(M, h, D)はWalker多様体であることを示した. MがE^4_2の場合に二つの時間的ツイスター空間の切断の組でそれらの共変微分が上述の性質を持つものはE^4_2上の4つの関数f^+, f^-, g^+, g^-でdg^+≠0, dg^-≠0を満たすものによってちょうど与えられることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今までの研究成果を踏まえて今年度は研究実績の概要に記したような研究を行うことができまた今後の展望を得ることもできたことを踏まえると, 区分は「おおむね順調」または「当初の計画以上」として良いと考えている. 研究実績の概要の(2)については一般の次元で行える議論, 得られる結果があると現時点では考えているため, 「当初の計画以上」進展したとは考えないことにする.
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況にも記したように, 研究実績の概要の(2)については一般の次元で行える議論, 得られる結果があると考えているので, それらについてまず調べたい. また, 研究実績の概要の(2)については空間がニュートラルではなくLorentzの場合に類似の問題設定ができるので調べたいが, 状況はより複雑なようである.
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