研究課題/領域番号 |
21K03231
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
河井 公大朗 大阪市立大学, 数学研究所, 特別研究員 (60728343)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | dDT接続 / 極小接続 |
研究実績の概要 |
(1)Karigiannis-Leungの汎関数とSpin(7)-dDT接続との関連づけ Karigiannis-Leungにより、G2-dDT接続はユニタリー接続の空間上のある汎関数の臨界点として書けることが知られている。この空間のある開集合上に適切な計量を導入し、その汎関数のgradient flowは、シリンダー上のSpin(7)-dDT接続と解せることを示した。これは、3次元多様体上の Chern-Simons汎関数のgradient flowは、シリンダー上のASD接続と解せるという事実の類似と思える。この観点は、3次元多様体の instanton Floer homology において重要であり、G2-dDT接続の場合にも類似の理論が期待できるかもしれない。
(2)極小接続の新しい特徴づけとその応用 部分多様体の体積汎関数の「ミラー」の臨界点を極小接続と呼ぶ。dDT接続は極小接続であり、「G2-instantonはYang-Mills接続」という事実の類似が成り立つ。G2-instantonの研究において、Yang-Mills接続の研究は重要であった。そこで同様に、極小接続の研究はG2-dDT接続の研究に重要であろうと考える。 まず「ミラー」体積の第一変分をより綿密に行い、極小接続を、ある余微分に類似した作用素を曲率に作用させれば0になる、という形で特徴づけた。これにより、極小接続はLaplacianに類似した作用素を曲率に作用させれば0になる。これは、Yang-Mills接続の類似である。このLaplacianに類似した作用素に対するWeitzenbock公式を導いた。また、ある種の単調性公式を発見し、ユークリッド空間上の体積有限な極小接続は、平坦接続に限ることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極小接続をYang-Mills接続に類似した形で特徴づけることができ、今後の方針をより明確にできたため。
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今後の研究の推進方策 |
上述のLaplacianに類似した作用素の劣解に対する平均値の定理を示す。その後、体積要素に関するBochner型不等式を示し、ε正則定理の証明を目指す。そして、それを用いて極小接続のコンパクト性定理の証明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の流行が続き、参加を予定していた研究集会がことごとく中止またはオンライン開催となった。感染症の流行がおさまってくれば、出張等も行うようにする。また、書籍やPC関連用品等を購入し、研究環境をより効率的なものにする。
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