研究課題/領域番号 |
21K03234
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
新田 泰文 東京理科大学, 理学部第二部数学科, 講師 (90581596)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | トーリック多様体 / K安定性 / 漸近的Chow安定性 |
研究実績の概要 |
Kaehler幾何において、標準Kaehler計量の存在問題は基本的かつ重要な問題の一つである。本研究の目的は、定スカラー曲率Kaehler計量のHitchin方程式による類似である HcscK計量の存在と幾何学的不変式論の意味での安定性の関係を明らかにすることである。今年度は偏極多様体の安定性、特にK安定性と漸近的Chow安定性について研究し次の研究成果が得られた。 (1)偏極トーリック曲面におけるK準安定性と漸近的Chow安定性の関係について研究し、漸近的Chow半安定性の障害が消えている偏極トーリック曲面において極大代数的トーラスに関する同変(一様)K準安定性が漸近的Chow準安定性を導くことを示した。(齋藤俊輔氏との共同研究)複素数体上では満渕氏によって漸近的Chow半安定性の障害が消えている非特異偏極代数多様体においてスカラー曲率一定計量の存在が漸近的Chow準安定性を導くことが知られているが、我々の結果はそのK安定性による類似である。我々の結果はトーリック曲面に限定されているが、基礎体が複素数体に限らない標数0の代数的閉体でも成立する、曲面が特異点を持っていても成立するという2つの利点がある。 (2)二木・満渕両氏が導入した端的Kaehlerベクトル場の量子化を考え、相対Chow安定性の従来とは異なる定義を与えた。(齋藤俊輔氏との共同研究)これはChowウェイトに対して端的ベクトル場と同様の性質を持つ正則ベクトル場を考え、相対Chow安定性の定義において現れる端的ベクトル場をこの量子化に置き換えたものを新たな相対Chow安定性と定義するものである。従来の意味では漸近的Chow不安定だが我々の意味では漸近的Chow準安定な3次元トーリックFano多様体が存在するため、これらは全く異なる概念であることが分かっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以前から懸念であったK安定性と漸近的Chow安定性の関係がトーリック曲面において明確になった点と端的Kaehlerベクトル場の量子化とそれを用いた相対Chow安定性の新たな定義を発見できた点から研究の進捗は順調であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた研究成果をさらに推し進める。具体的には、これまでに得られた結果をトーリック多様体以外の対称性の高い多様体に拡張すること、我々が導入した新しい漸近的相対Chow安定性と相対K安定性との関係や例えば偏極トーリック多様体における(漸近的)相対Chow安定性の判定法を確立することが考えられる。また、以上の事柄のHcscK計量における類似も考えたい。特にChow安定性のHcscK計量における類似は大変興味深いと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、国内外の殆どの研究集会・シンポジウムや他研究者との打ち合わせが中止またはオンラインで行うこととなった。そのため、出張を中止せざるを得なくなり未使用金が生じた。
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