研究実績の概要 |
Thompson 群 F, および T に関し以下のような研究を行った. McCleary-Rubin の先行結果にさらに Brin の結果を合わせ用いれば, これらの群の自己同型は「ほとんど」内部自己同型に限ることが従う.ところが,McCleary-Rubin の仕事はいまだに未発表である.一方,Brin の証明は実に混沌としている.そこで,彼等の結果に対する別証明を与えることを試み,それに成功した.まず,McCleary-Rubin の結果に対しては別証明をふたつ与えた.第一の別証明は Thompson 群 F に対するものであり,それがいわゆる lattice-ordered group であることに深く依存したものである.第二の別証明はより初等的かつ平明なものである.さらに,力学系理論における Livschitz 理論の亜種を開発することにより,Brin の定理に対しても別証明を与えた.力学系理論における標準的な手法(の亜種)により,Brin の定理が証明されたことになる.圧倒的に見通しのよい証明であると自負している. なお,半単純 Lie 群の格子に対しても,その自己同型が「ほとんど」内部自己同型であることが,Mostow の剛性定理の系として知られている.上述の Thompson 群に対する結果 と Lie 群に対するそれとの間に類似性が存在することを期待している.その発見に向けて,試行した.
|