研究課題/領域番号 |
21K03248
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長谷川 敬三 大阪大学, 理学研究科, 招へい教授 (00208480)
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研究分担者 |
後藤 竜司 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30252571)
入江 博 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (30385489)
長谷川 和志 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50349825)
糟谷 久矢 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (80712611)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ユニモジュラー・リー群 / 佐々木構造 / CR構造 / Vaisman構造 |
研究実績の概要 |
現在,学術雑誌に投稿中の論文「Unimodular Sasaki and Vaisman Lie groups, V. Cortes and K. Hasegawa」(arXiv:2004.02112)」において,単連結ユニモジュラーVaismanおよび佐々木リー群の完全な分類が得られました。すなわち,対応するリー環の言葉で述べると,改変 (Modification) を除いて「ユニモジュラーVaismanリー環はR x sl(2), R x su(2), R x hのいずれか」に分類され,「ユニモジュラー佐々木リー環はsl(2), su(2), hのいずれか」 に分類される。ここでhはハイゼンベルグ・リー環である。さらに,これらのリー環上の(Vaisman構造の有無に関わらない)不変な複素構造を決定しました。特に,Rxh上の不変な複素構造は複素アフィン空間に双正則同値であることを示しました。佐々木構造は強擬凸CR構造でいわゆる正規条件(normality)を満たすものとして捉えることができますが,例えば,SU(2)上には佐々木構造ではない不変な強擬凸CR構造が入り,複素アフィン空間に埋め込めないCR構造としてよく知られています。最近の結果として,冪零非退化CRリー群はハイゼンベルグ・リー群であり,さらに上記のRxh上の複素構造に関する結果を用いて,ハイゼンベルグ・リー群上の不変な非退化CR構造を具体的に決定することができました。これらのCR構造は複素アフィン空間内の超2次曲面としてのCR構造を定義し,具体的な埋め込み写像も得られます。現在,一般のユニモジュラー非退化CRリー群の分類・構造定理の研究を進めています。一つの予想として「カルタン接続に関して局所平坦な単連結非退化CRリー群は対応するリー環がsl(2), su(2), hのいずれかの場合に限る」を得ています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に述べた様に,佐々木構造は強擬凸CR構造でいわゆる正規条件 (normality)を満たすものとして捉えることができますが、具体的に,単連結ユニモジュラー佐々木リー環であるsl(2), su(2), hはCRリー環としてみてどのような特徴づけができるかをみることは重要かつ興味深い問題です。最近得られた結果として「冪零非退化CRリー群はハイゼンベルグ・リー群であり,さらにハイゼンベルグ・リー群上の不変な非退化CR構造は複素アフィン空間内の超2次曲面としての標準的なCR構造をもつこと」を示しました。単連結CRリー群の分類問題に関しては,3次元の場合はカルタンによってすでに決定されていて,一般次元に関してはチャーン・モーザーによってカルタンの結果を拡張する形で基本的な結果が得られています。これらの結果を踏まえて,より具体的に単連結ユニモジュラーCRリー環の分類問題に取り組んでいます。第一歩として,予想「カルタン接続に関して局所平坦な単連結非退化CRリー群は対応するリー環がsl(2), su(2), hのいずれかの場合に限る」に取り組んでいます。また,研究実績の概要に述べた様に,ハイゼンベルグ・リー群上の複素構造を決定し,それらはすべて複素アフィン空間に双正則同値であることも示していますが,一般の冪零リー環上の複素構造に関して,「冪零 Lie 群上の不変な複素構造は複素アファイン空間に双正則同型である」および「冪零 Lie 群上の不変な複素構造の変形はまた不変であり,したがって複素アファイン空間に双正則同型である」と予想しています。これらの予想は複素冪零 Lie 群,一般にはあるコホモロジーの条件のもとでは成り立つことが知られています。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況に述べた様に,今後の取り組むべき課題として,1. 予想「カルタン接続に関して局所平坦な単連結非退化CRリー群は対応するリー環がsl(2), su(2), hのいずれかの場合に限る」の解決,2. 単連結ユニモジュラー非退化CRリー群(より一般に等質空間)の分類問題の解決,3. 冪零 Lie 群上の不変な複素構造は複素アファイン空間に双正則同型である,4. 冪零 Lie 群上の不変な複素構造の変形はまた不変 であり,したがって複素アファイン空間に双正則同型である,を挙げたい。研究活動の一環として,第7回国際研究集会「Complex Geometry and Lie Groups」を次年度中にイタリアにて開催予定です。前回(第6回,新潟市)は2021年2月15日-20日の日程でオンラインにて開催し,講演数25名,参加登録者数は約150名と比較的規模の大きな研究集会になっています。
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次年度使用額が生じた理由 |
該当年度において,予定していた旅費の使用がなく,来年度に予定している国際研究集会の開催のための費用として使用する計画です。
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