研究実績の概要 |
3次元空間の中の閉じた紐を上から光を当てると平面の上に影が出来る。その影だけを見ながら紐の絡まりを研究するのが結び目理論である。この研究は,次元を上げて,4次元空間の中の曲面(曲面結び目)を3次元空間に写し,影を見ながら研究を行なう。この影は,交わりのある曲面で,2枚や3枚の曲面が交わっている。交わった部分だけを見ると,曲線が現れる。鎌田氏より,曲面結び目をいい形に変形した後、その曲線を更に平面に射影して,平面上で曲面結び目を描くことが可能になった(chartという)。この研究は, 曲面結び目の分類のために,chart の分類表を作成することを目的とする。手法は,コンピュータで効率よく不変量を計算し,その中から候補を見つけ,理論的に証明する。 4-chart で丁度 crossing が2個のものは、具体的な chart の形を以前求めていた。その中でも black vertex が8個である 4-chart で、そのchart が表す曲面絡み目の成分数が2であるものをコンピュータで調べた。coloring を計算したところ、簡単な quandle(quandle の元の数が3のもの)を使って、これらの chart が表す曲面絡み目が自明な曲面絡み目でないという予想が得られた。実際に、手を使って計算して、これらの chart が表す曲面絡み目が自明な曲面絡み目でないことが示された。 また別の quandle 達を使うと、これらの曲面絡み目が互いに異なるものであるらしいと予想が得られた。このquandle は元の個数が n であり、その元たちを 1,2,3,..., n と表すと、i*j=i (i が n でない)というほぼ単純な演算をもつ quandle である。まだ証明をしていないが、次年度はこの予想の証明を行い、更にリボン型でないことも示したいと思う。
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