研究課題/領域番号 |
21K03256
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小川 竜 東海大学, 理学部, 講師 (90759143)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Liouville構造とWeinstein構造 / Liouville力学系と接触力学系 / 接触収縮性とLiouville多様体の懸垂構成 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は、シンプレクティック多様体のLiouville構造とWeinstein構造の差異を明らかにすること、そのための研究手法を開発することである. (1) Yakov Eliashberg氏、吉安徹氏との共著論文「Stabilized convex symplectic manifolds are Weinstein」が Kyoto Journal of Mathematics から出版された. 論文では、安定化されたLiouville多様体があるWeinstein多様体とシンプレクティック同相であることを示した. これは本計画の基盤を与えるものである. また、この成果について研究集会「接触構造、特異点、微分方程式及びその周辺」において発表した. (2) これまで知られているLiouville多様体は、すぐにWeinstein構造に変形できるもの、もしくは多様体の位相的な条件から明らかにWeinstein構造を許容できないものの何れかに分かれる. シンプレクティック幾何として両構造に非自明な差が出るような例が存在するか否かは大きな未解決問題である. 近年、Huangにより提案されたLiouville多様体の懸垂構成は、Weinstein構造に変形できるかどうかすぐには分からないという点で非自明な例を与え、本研究において重要な手法になると考えている. そこで今年度は、懸垂構成で必要となる接触埋め込みの存在・非存在についての研究に焦点をあて、一定の成果を得ることができた. 特に懸垂型Liouville多様体の具体例を増やすことに成功した. さらに凸接触構造との関係や接触構造の過旋性との関係について幾つかの命題を証明することができた. これは新たな研究の方向性を予見させるもので、次年度以降継続して考察する予定である. ここまで得られた結果を論文としてまとめ、投稿準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に従って今年度は懸垂型Liouville多様体についての研究を行い、概要欄で述べた方向で一定の結果が得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
5.研究実績の概要(2)で得られた懸垂型Liouville多様体と接触収縮性に関する結果をさらに押し進める. 特にその過程で発生した幾つかの課題について取り組む. 一方で、Liouville力学系に関する研究についてはあまり進展が得られなかったので、次年度集中的に取り組む予定である. 具体的には、Breen-Christianによるplug構成を参考に、Liouvilleフローが大域切断またはBirkhoff切断を持つ場合に、力学系のどのような変形が可能なのかを調べる.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の状況により予定していた出張ができなかったため未使用額が発生した. 次年度は、状況を見つつ、対面での研究打合せや研究発表等を積極的に行っていく予定である. その旅費等を繰越分から優先して支出する. また、研究集会開催のための物品購入などに充てる予定である.
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