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2023 年度 実施状況報告書

仮想結び目の不変量と局所変形の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K03257
研究機関東京女子大学

研究代表者

大山 淑之  東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (80223981)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード仮想結び目 / 局所変形
研究実績の概要

結び目や仮想結び目の不変量を通して、局所変形による結び目や仮想結び目間の距離を研究することが本研究の目的の1つである。結び目や仮想結び目の距離を決めておき、その距離条件をみたす結び目や仮想結び目の不変量の性質を調べる。局所変形による仮想結び目の距離空間に、その不変量をもちいることができるのか判断でき、また、その不変量自身の特徴を調べることになる。上記研究目的を進めることになる。以下の2つの結果が得られた。
自明な結び目の次に基本的な結び目は三葉結び目である。デルタ移動とよばれる局所変形をもちいると1回で自明な結び目になり、さらに近年定義された交叉多項式とよばれる不変量が一致する非自明な仮想結び目が無限個存在することを証明した。この交叉多項式というのは、2022年までの研究において、多くの多項式不変量が一致する仮想結び目を分類するために用いられた分類能力が高い不変量であり、計算が複雑である。
n-writheと呼ばれる仮想結び目の不変量がある。任意に与えられたn-writheを実現する仮想結び目が存在することは2020年に証明した。2023年度は任意に与えられたn-writheをもつ仮想結び目をさらに無限個構成する方法を見出すことができた。証明には、上記の分類能力の高い交叉多項式を用いる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

仮想結び目の局所変形による距離空間を研究するためには、仮想結び目の不変量の研究が重要である。2023年度の結果は、デルタ移動による局所変形の距離空間 において、三葉結び目を中心とする距離1の球面上の仮想結び目の集合には、代表的な仮想結び目不変量だけでなく、仮想結び目の分類能力が高い特殊な仮想結び目不変量である交叉多項式も自明な結び目と一致するような非自明な仮想結び目が無限個存在することを示している。不変量の観点からも、デルタ移動距離が1という幾何学的にも三葉結び目に近い仮想結び目が無限個存在するという興味深い結果が得られたことになる。
また、2つ目の結果では、計算が容易ではなく分類能力が高い仮想結び目不変量に対して、ある操作を仮想結び目に施したときの変化量を決定している。この結果は他の研究にも応用できると考えられる。n-writhe、Miyazawa多項式、交叉多項式という仮想結び目特有の不変量に関する結果である。この研究は仮想結び目の研究を発展させるものと考えている。
以上より、おおむね順潮に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

この数年の結果を導くために、よく知られている仮想結び目不変量や最近発見された分類能力が高く計算が大変複雑な不変量を用い、それらの不変量の研究を進めた。結果を得るために様々な仮想結び目を構成した。その際に、計算をした不変量がすべて自明な結び目に一致してしまう仮想結び目の例があった。この例は基本的な局所変形1回で自明な結び目になるという性質もみたしている。局所変形を1回おこなうことにより自明になるということから、非自明な結び目であると予想される。この仮想結び目を非自明な結び目であることを証明を試みる。仮想結び目における分類能力が高い不変量がすべて自明な結び目と同じということから、非自明であるという証明を行うことは大変難しい問題であろう。しかし、不変量にはそれぞれ固有の性質がある。他の不変量を詳しく研究することが、この問題の解決へつながると考えている。
2023年度の2つめの結果において、仮想結び目におこなった操作をさらに研究し、他の仮想結び目の問題への適応を考えていく。この操作は現在までの仮想結び目の研究に現れたものではなく、研究の発展が期待される。

次年度使用額が生じた理由

2021年度はコロナの影響で、研究集会が対面ではなく、オンラインで開催された。その年度に旅費使用がなく、未使用額が生じた。2023年度は全国規模の研究集会を4日にわたって開催した。この研究集会で、多くの研究者との研究連絡をおこなうため、本研究費を使用する予定であった。しかし、予想に反して、自らの研究費で研究集会に参加する研究者がおおく、本研究費の使用は少額であった。以上のことから、次年度使用額が生じている。
今年度、今までの研究成果発表のための機器購入、毎月おこなっている東京女子大トポロジーセミナー、また、暮れに東京で開催される結び目理論の全国規模の研究集会のために使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Virtual knots with properties of Kishino’s knot2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Ohyama and Migiwa Sakurai
    • 雑誌名

      Tokyo Journal of Mathematics

      巻: 46 ページ: 19-31

    • 査読あり
  • [学会発表] Virtual knots and Miyazawa polynomial2023

    • 著者名/発表者名
      Minami Kezuka and Yoshiyuki Ohyama
    • 学会等名
      研究集会「結び目の数理IV」

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公開日: 2024-12-25  

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